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AIのMistral AI 独立性を維持しASMLと提携、欧州AIの存在感を強化
半導体装置メーカーのASMLとAIスタートアップのMistral AIは、ASMLの製品ポートフォリオにAIモデルを活用するための提携を発表しました。ASMLは今回の資金調達ラウンドを主導し、Mistral AI株式の11%を取得しました。買収ではなく提携という形ですが、米国企業による支配を避けつつ「欧州発のAI」としての独立性を確立する象徴的な一歩といえます。米国の大手VCからの支援が厚かったMistral AIにとって、欧州の主要技術企業ASMLが筆頭株主となることで、「Sovereign AI(主権的AI)」としての立場を明確にしました。
技術的にもMistral AIは独自の路線を取っています。オープンソースモデルを基盤とし、エンタープライズ顧客に特化する戦略で、米国競合との差別化を図っています。2024年には推論に特化したモデル「Magistral」を発表し、多言語やコード、数学分野での応用を強化しました。また、効率的なMixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用し、計算資源を抑えつつ高性能を実現。計算コストあたりの性能を高め、競争力を強化しています。
同年2月には多言語対応の対話型AI「Le Chat」をローンチし、ChatGPTやGeminiの対抗馬として注目を集めました。Mistral AIはLe Chatを軸に、エンタープライズ向け機能を無償で提供し、DatabricksやSnowflake、GitHub、Atlassian、Stripeといった外部サービスとの統合を拡大。単なるアプリではなく統合スイートとして市場支配を目指す姿勢を示しています。アナリストのBeatriz Valle氏は「米国勢と比べて規模はまだ小さいが、この提携は欧州のAI産業にとって重要な道筋を示す」と述べています。ASMLにとっても、地政学的な混乱が続く中、ソフトウェア領域の強化は競争力を高める好機となっています。
Mistral AIについて
Mistral AIは欧州を代表するAIスタートアップで、オープンソースモデルとエンタープライズ特化戦略を強みとしています。効率的なMoEアーキテクチャと独自の推論モデル「Magistral」、多言語対応AI「Le Chat」を展開し、欧州の「Sovereign AI」として注目を集めています。ASMLからの出資と提携により、米国大手からの独立性を維持しつつ成長を加速しています。
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