Startup Portfolio
組み込み型サイバーセキュリティスタートアップの"Exein"がSeries Cで€70M($81M)を調達
Exeinは、Balderton Capitalがリードし、Supernova、Lakestar、33N、United Ventures、Partechが参加したSeries Cで€70M($81M)を調達し、評価額は€250Mを超えました。Exeinは2024年初頭のSeries Bで€14Mを調達しています。
イタリア・ローマ拠点の組み込み型サイバーセキュリティスタートアップであるExeinは、その技術が15億台のデバイスに組み込まれており、次なるデジタル防衛の最前線とされる「エッジのセキュリティ」において、新たなカテゴリーを定義する存在として独自のポジションを築いています。
Exeinのアプローチはユニークであり、Pulsar技術がサーバーやスマートフォンからプリンター、スマートコーヒーマシンに至るまで、接続デバイスを駆動するチップセットに直接組み込まれています。ネットワークの境界やクラウドを守るのではなく、Exeinはハードウェア自体を守ることで、従来のサイバーセキュリティシステムが見落としがちな低レベルの脆弱性を悪用される前に対処します。
このような組み込み型のポジションは、Exeinにとって決定的なファーストムーバーアドバンテージとなっています。Nvidia、AWS、Intel、MediaTek、Supermicro、Armといった主要なハードウェアおよびクラウド企業がすでにExeinと提携しており、エコシステムへの深い統合が可能となっています。2025年1月に発表されたMediaTekとの合意により、さらに数億台のデバイスのセキュリティ強化が見込まれています。最近締結されたSupermicroおよび未発表の米国チップメーカーとの契約によって、Exeinの導入台数は今後25億台を超える可能性があります。
同社の成功は、クラウドやネットワークの防御だけでは不十分であるという業界の認識の高まりを反映しています。特に従来「スマート」とは見なされてこなかったデバイスが攻撃経路となるリスクが増しています。
2023年に最初の商用製品を発表後、Exeinは強固なセキュリティをデフォルトで組み込みたいと考えるチップセットメーカーやデバイスメーカーから急速に支持を得ました。同社は「オープンコア」モデルを採用しており、チップセットメーカーにはソフトウェアを無償で提供する一方で、実際の使用に基づいて収益化しています。組み込み展開から有料使用への転換率は10%に達しています。
これまでに、Exeinのソフトウェアが稼働するデバイスで100万件以上のセキュリティ脆弱性を特定・解決したと同社は述べています。
Exeinは、エンドポイントハードウェアにとどまらず、新たな資金を活用して、生成AIシステムにも組み込み型セキュリティモデルを応用する方法を模索しています。同社は、GPUクラスター、推論ノード、エッジアクセラレーターといった高価値ターゲットとなるAIハードウェアインフラのセキュリティ強化に取り組んでいます。
「最初の会話から、Exeinがサイバーセキュリティの中でも最も喫緊かつ未対応な課題、すなわちエッジのセキュリティに取り組んでいることが明らかでした。ハイステークなセクターでの急速な採用ペースが、Exeinが単なる製品を作っているのではなく、新しいカテゴリーを定義していることを示していました」とBaldertonのPartnerは述べました。
この資金は、Exeinの日本、韓国、台湾、アメリカ合衆国への地理的な拡大も支援します。これらの市場は半導体およびデバイス製造が盛んであり、同社の組み込み型アプローチにとって大きな成長の機会を提供します。
Exeinの台頭には、いくつかの業界動向が背景にあります。Linuxが組み込みデバイスの事実上のOSとなったことで、攻撃者はかつて断片化していたハードウェアエコシステムを横断する攻撃をスケールさせられるようになりました。同時に、5Gや常時接続の普及により、攻撃対象面は大幅に拡大しています。
多くのセキュリティベンダーがクラウドやネットワークレベルの制御に注力する中、Exeinはデバイス自体を、しかも電源が入った瞬間から守るという洞察を持っていました。このアプローチは商業的にも国家安全保障の文脈でも支持を集めつつあります。
Exeinは今後、チップメーカーとのさらなる統合、AIハードウェアのセキュリティ強化、分析プラットフォームの進化によって、デバイス群に対する可視性と修復能力を高めていく予定です。業界はまさに大きな転換点の始まりにあり、それは初期のモバイルOSから現代のプラットフォームへの移行に似た動きです。
成功すれば、Exeinはエッジセキュリティの定義を根本から変える可能性があります。つまり、それを後付けではなく、ハードウェアに不可欠な要素として位置づけるのです。攻撃対象面が分散し、物理世界がますますデジタル化される中で、同社の組み込み型セキュリティというポジショニングは、単なる差別化された製品ではなく、新しいサイバーセキュリティのパラダイムを示すものとなるかもしれません。
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