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オープンソースの大規模言語モデル(LLM)のMistralが、欧州のAI強化を呼びかけ
フランスのスタートアップMistralの共同創業者でありCEOのArthur Mensch氏は、AI市場における欧州の立ち位置について「欧州企業は米国の技術への依存を見直しつつある」と指摘し、地域独自のAIエコシステムの構築が急務であると強調した。
Mensch氏は、欧州企業がAIの導入を加速させている現状を踏まえ、「欧州にはインフラ面で大きな強みがある」と述べ、特にエネルギー分野の優位性を強調した。また、AIの発展がクラウドコンピューティングの分散化を促進し、新たなプレイヤーの参入を可能にすると指摘。「AIに関する議論は米国と中国が中心になりがちだが、欧州もこの会話に積極的に参加するべきだ」と語った。
Mensch氏は、欧州の通信事業者がデータセンターへの投資を進め、ハイパースケーラーとしての役割を果たす可能性についても言及した。「AI向けのデータセンターを構築するには、電子機器、ファイバー、半導体チップの3つが必要です。通信事業者はすでに広範なファイバー網を持っており、データセンターの建設において優位な立場にあります」と説明した。さらに、Mistralは本拠地フランスでのデータセンター設立を進めており、「フランスの電力網は優秀で、コストも適正、技術力も高い」と述べた。また、Mistral自身もインフラ層にまで事業を拡大し、通信事業者と提携する意向を示した。現在、Mistralはフランスの大手通信事業者Orangeと協力し、AIを活用した予測保守やネットワーク最適化に取り組んでいる。Mensch氏は、「通信事業者にとってAIは、運用コストの削減やネットワークの効率化を実現する重要なツールとなる」と強調した。
欧州では規制の厳しさがAIの発展を妨げると懸念されることが多いが、Mensch氏は「市場の分断こそが最大の課題」だと主張した。各国に複数の通信事業者が存在するため、大規模なAI導入が難しくなっているという。一方で、米国の政策変更が欧州のAI戦略を加速させており、欧州委員会も規制の枠を超えてAI開発を支援する方向にシフトしていると指摘した。また、AIが消費者向け技術に深く組み込まれていく中で、「通信業界とのパートナーシップを通じて、すべての人が高度なAIシステムにアクセスできる環境を構築できる」と述べ、欧州企業とAIプロバイダーの連携に期待を寄せた。
Mistralについて
Mistralは、フランスを拠点とするAIスタートアップで、主に大規模言語モデル(LLM)の開発を手掛けている。欧州のAI独立性を強化することを目的とし、高性能なAIシステムを提供することで、クラウドや通信インフラとの統合を進めている。
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