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Big DataインフラのFivetranとdbt Labs、株式交換で経営統合へ 年商約6億ドルのデータ基盤企業が誕生
Fivetranとdbt Labsは、株式交換による経営統合で合意したと発表しました。両社の年間売上は合算で約6億ドルに達し、AI時代に対応したエンタープライズ向けデータ基盤の強化を目指します。取引は収益と成長率に連動した比率でのオールストック交換として構成され、統合後の企業価値は両社の直近のプライベート評価額を上回る見込みですが、最終的な評価は市場に委ねられるとしています。統合が完了すると、FivetranのGeorge Fraser氏がCEO、dbt LabsのTristan Handy氏が共同創業者兼プレジデントに就任します。取締役会は双方の代表が参画する「対等合併」の構成となり、キャッシュフローはほぼ損益分岐点に近い水準と説明されています。手続きの完了は1年以内を見込んでいます。
本件は、AI活用の前提となる内部データの整備需要が高まる中、データツーリング市場の集約化を象徴する動きです。Fivetranは複数のSaaSやデータソースからデータウェアハウスへ自動で集約するデータ移送(ELT)に強みがあり、dbt Labsはそのデータを分析可能な形に変換・整備するオープンソースツール「dbt」を中心とした変換レイヤーで広く使われています。Fraser氏は「当社の強みはオープンなインフラと相互運用性にある。企業がAIの文脈でビジネスデータを活用する上で、この組み合わせはユニークだ」と述べ、両社製品の補完性を強調。Fivetranの顧客の8~9割がdbtを利用していると推定しています。統合後もdbt Labsのオープンソース版である「dbt Core」は現行ライセンスのまま提供を継続します。新会社は、データ取り込みから変換、ガバナンスまでを一体で提供する総合プラットフォーム構築を目標に、スケール拡大とプロダクト拡張によって将来的な上場の選択肢を強める考えです(足元でのIPO計画は未定)。Fivetran(2021年に56億ドル評価)、dbt Labs(2022年に42億ドル評価)は、ともにAndreessen Horowitz(a16z)などを主要投資家に持つ有力スタートアップです。
Fivetranについて
Fivetranは米カリフォルニア州オークランドに本社を置くデータ移送(ELT)プラットフォームのリーダーです。各種SaaS・データベース・イベントストリームからのコネクタを提供し、データウェアハウスやレイクハウスへの自動同期を実現。信頼性の高いスキーマ管理と運用自動化により、分析基盤やAI活用のためのデータ整備を効率化します。
dbt Labsについて
dbt Labsは米ペンシルベニア州フィラデルフィア発のデータ変換ツール「dbt」の開発企業です。SQL中心のモデル化とテスト、自動ドキュメント化を通じ、アナリティクスエンジニアがソフトウェア開発のベストプラクティスでデータ変換を行える環境を提供。オープンソースのdbt Coreと商用のクラウド製品を展開し、組織の分析生産性とデータ品質向上を支援します。
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