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Data InfrastructureとAgentic AIのVast Data、Azure連携を強化し、エージェント時代に対応したインフラ刷新
データインフラ市場の大手プレイヤーであるVast Data Inc.は、MicrosoftのクラウドプラットフォームAzureとの協業を一段と深め、次世代のエージェント型AI(agentic AI)ワークロードを支える高性能インフラを提供すると発表しました。これにより、企業は複雑化するAIワークフローを支える統合ストレージやデータカタログなど、Vastのデータサービス群をAzure上で利用できるようになります。Vast Dataの共同創業者Jeff Denworthは、「我々がVast AI Operating Systemと呼んでいるすべての価値をMicrosoftの顧客に届けることが目的です」と語り、「この2年ほどMicrosoftと協業を進めてきましたが、最終的なゴールは、Microsoftが提供するあらゆるコンピュートプラットフォームに対して、顧客が持つすべてのデータセットへのアクセスを開放することです」と説明しています。
今回の連携により、AzureユーザーはVastのInsightEngineやAgentEngineといった機能を活用し、インテリジェントかつデータ駆動のワークフローをクラウド上で実行できるようになります。具体的には、高速なベクター検索、RAG(Retrieval-Augmented Generation)パイプライン、データ前処理といったユースケースを加速し、AgentEngineがリアルタイムデータストリームをエージェント型AIに供給することで、ハイブリッドクラウド環境全体で継続的なAI推論を可能にします。
Denworthは、「データの上に直接エージェントを載せられる“エージェントビルダー”をつくりたいと考えています」と述べ、「過去12カ月で市場は大きく変わりました。リースニングモデル(推論特化モデル)が登場したことで、単に大量のデータをトレーニングに流し込むジェネレーティブAI時代から、データシステム自体がコンピュート基盤の不可欠な一部になるフェーズに移行しつつあります。世界は今、こうした新しいエージェントシステムにデータを供給できるよう、自らのデータインフラを“格上げ”する、史上最大級のテクノロジーリフレッシュに向かって動き出していると考えています」と指摘します。
Vast AI OSは、ストレージや推論といった分散コンピューティングサービスを統合レイヤーとしてまとめ、クラウド、エッジ、データセンターをまたいで橋渡しするアーキテクチャを採用しています。なかでもエッジ分野はVastにとって重要なフォーカス領域であり、2024年3月にAkamai Technologiesとの提携を発表し、エッジ側でのAI推論性能向上に取り組んでいることにも表れています。Denworthは「エッジは非常に活気のある事業領域です。Akamaiとは今年初めにMicrosoft、Google、CoreWeaveと行っているような取り組みに近い発表をしており、彼らはVastをベースにフルなエッジネットワークを構築したいと考えています」と述べています。
Vast Dataは近年、パートナーシップの拡大に加え、12四半期連続のプラスキャッシュフローと約90%の高い粗利率を達成しており、IPO(新規株式公開)への期待も高まっています。theCUBEから上場の可能性について問われたDenworthは、「組織体制や体制作りという意味では、公開企業になるための準備は整っていると言えます。社内ではすでに四半期ベースでボード向けにレポーティングも行っています。ただ、本当に“準備完了”と言えるのは、まだ数四半期先だと思います」と述べ、慎重な姿勢を示しました。企業がエージェント型AIの本格導入に向けてデータインフラの再構築を急ぐなか、Azureとの連携強化は、Vast Dataが「AI時代のデータ基盤」としての存在感をさらに高める一手となりそうです。
Vast Dataについて
Vast Dataは、AI時代の最も要求の厳しいワークロード向けに設計されたデータインフラプラットフォームを提供するスタートアップです。高性能かつスケーラブルな統合ストレージとデータサービス、InsightEngineやAgentEngineを含むVast AI Operating Systemを通じて、クラウド・エッジ・データセンターを横断する統一データレイヤーを実現します。Fortune 500企業から最先端のロボティクスやAIスタートアップまで幅広い顧客を持ち、ベクター検索やRAG、エージェント型AIなど次世代AIワークロードのためのインフラ刷新を支援しています。
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