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核融合のCommonwealth Fusion Systems、A*STARと核融合サプライチェーンの強化に向けた5年間の研究協力契約を締結
シンガポールの政府系研究機関であるAgency for Science, Technology and Research(A*STAR)と、商用核融合発電を目指す民間核融合エネルギー企業のCommonwealth Fusion Systems(以下「CFS」)は、シンガポールにおける核融合サプライチェーン機能を強化するための、5年間の協力研究契約を締結したと発表しました。CFSはこれまでにTemasekやGoogleを含む著名投資家から累計約38.5億シンガポールドル(約30億米ドル)を調達している民間核融合エネルギー企業で、今回の協業はCFSの商用核融合発電所、とりわけ「ARC」発電所向けの技術開発にフォーカスし、シンガポールがグローバルな核融合エネルギー・サプライチェーンに早期参入者として参画する取り組みを後押しする位置付けです。
今回の合意は、A*STAR、CFS、そしてテクノロジー・防衛・エンジニアリング・グループであるST Engineeringの三者で、シンガポールの先進製造能力を活用してCFSの「SPARC」核融合実証マシン向けの部品を生産する従来の協業を基盤に、それを発展・拡張する形で位置付けられています。A*STAR・サイエンス&エンジニアリングリサーチカウンシル(SERC)のアシスタント・チーフ・エグゼクティブ、Professor Lim Keng Huiは、「核融合エネルギーは変曲点(インフレクションポイント)にあり、グローバル業界はクリーンで信頼性の高い電力の商用配備へと一段と近づきつつある。今回のCFSとの提携は、A*STARの強みであるトランスレーショナル・リサーチ能力を、リアルワールドの核融合システムへ持ち込むものであり、先進材料、精密製造、材料試験のケイパビリティに支えられている」と述べています。さらに同氏は、こうした協業がシンガポールを、新興の核融合サプライチェーンへの寄与者として位置付けるとともに、国内産業にとっては高付加価値・次世代型製造分野でのケイパビリティ構築をよりアクセシブルなものとする、とも指摘しています。CFS共同創業者兼CEOのBob Mumgaardも、「シンガポールは先進製造および材料エンジニアリング領域に重要なケイパビリティを持っており、それらを造船、航空宇宙、半導体の各セクターに展開してきた実績がある。A*STARとの提携によって、これらのケイパビリティがCFSの商用化ジャーニーを加速してくれると期待している」とコメントしました。
技術および市場の観点からみると、本提携の重要性は核融合領域固有の特性に由来します。核融合エネルギーは、軽元素の原子核を融合させて巨大なエネルギーを取り出すプロセスで、ベースロードかつカーボンフリーな電力を大規模に供給しうるポテンシャルを持つとされており、グローバルな核融合領域への投資額はすでに191億シンガポールドル(約149.6億米ドル)超を突破しています。CFSは商用規模でのカーボンフリー電力供給を2030年代前半に実現することを目標に掲げており、今回の合意はA*STARをその商用化プロセスの一翼に組み込む構造です。Temasekは、シンガポールに本拠を置くグローバル投資会社で、2025年3月31日時点のネットポートフォリオバリューが4,340億シンガポールドル(約3,400億米ドル)に達していますが、CFSへの初期投資家としてシリーズAラウンドのリード投資家を務めた経緯があり、A*STARとも研究・イノベーション領域で広範に協業しています。提携のスコープは核融合に限定されません。今回の協業を通じて開発される材料科学、先進製造、プラズマ診断のケイパビリティは、航空宇宙や、それと同等以上に過酷な環境下で稼働するアドバンスト・エンジニアリング・セクターにも横展開可能で、シンガポールが「核融合の機会」と「ディープテック領域全般の能力高度化」を同時に取りに行く、戦略的なポジショニングとなっています。
Commonwealth Fusion Systemsについて
Commonwealth Fusion Systems(CFS)は、2018年に米国・マサチューセッツ州ケンブリッジで、Massachusetts Institute of Technology(MIT)のPlasma Science and Fusion Center(PSFC)からのスピンアウトとして設立された、米国を代表する民間核融合発電企業で、現在の本社は同州デヴェンスにあります。共同創業者には、CEOのBob Mumgaard、Chief Science Officer(CSO)のBrandon Sorbom、MITプロフェッサーのDennis WhyteおよびZach Hartwig、PSFC元副ディレクターのMartin Greenwald、初代CTOのDan Brunnerが名を連ねており、創業者らは2012年のMIT教室における議論を起点に、コンパクトな「ARC」型トカマク設計に基づく小型核融合発電所の商用化を目指して同社を立ち上げました。中核技術は、MITとの共同開発による高温超伝導(HTS)磁石で、これにより従来の核融合研究で用いられてきたよりも小型かつ低コストのトカマクの実装を可能にしています。現在は、マサチューセッツ州デヴェンスの本社キャンパスに50〜100MWの核融合出力を見込む実証機SPARCを建設しており、初プラズマ点火は2026年内、その直後にネット・フュージョン・エナジー(投入を上回る出力)の達成を目指しています。最初の商用核融合発電所「ARC」は、米国・ヴァージニア州チェスターフィールドカウンティで建設予定で、出力約400MW、グリッドへの電力供給開始は2030年代前半を計画しています。Googleとの間では、ARCから200MWを取得するインベストメント&オフテイク契約を締結しており、ハイパースケーラーの電力調達と直結する商用化軌道を確立しつつあります。資金調達面では、2021年のシリーズBで18億ドルを調達したのを皮切りに、累計で約30億ドル超を確保しており、投資家にはTemasek、Google、Bill Gates率いるBreakthrough Energy Ventures、Khosla Ventures、Tiger Global、Coatue、Lowercarbon Capital、Soros Fund Management、John Doerr、Eni、Equinor、Safar Partnersらが名を連ねています。従業員数は2025年時点で1,000人超に達しており、SiemensおよびNvidiaとの間ではフュージョン・デジタルツインを共同開発するなど、AIおよびエンジニアリング・シミュレーションを活用した商用化スピードの加速も並行で進めています。
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