企業向けに迅速かつ実用的な成果を提供するAIコンサルタントの"Distyl AI"がSeries Bで評価額$1.8Bで$175Mを調達

Distyl AIは、LightspeedとKhosla Venturesがリードし、Coatue、Dell Technologies Capital、DST Globalが参加したSeries Bで$1.8Bのユニコーン評価額で$175Mを調達し、これまでの資金調達総額は$200Mを超えました。

企業向けに迅速かつ実用的な成果を提供するAIコンサルタントのDistyl AIは、顧客の中核業務プロセスにAIを直接統合することを専門としており、数百万ドル規模のコスト削減や収益創出を実現するAIシステムの構築が可能だとしています。これらの取り組みは、同社のDistillery AI Engineを中心に展開されており、このエンジンは企業の既存コンピューティングシステムやアプリケーションに組み込まれ、さまざまな業務の自動化を開始することができます。同社は、これらの“AI Routines”を数か月や数年ではなく、数週間で稼働させることが可能だと主張しています。

Distilleryでは、AIアルゴリズムが顧客の業務プロセスを学習し、人間の代わりにAIエージェントが実行できるような自動化プロセスを構築します。このエンジンは顧客固有のデータにアクセスし、AIエージェントがその業務に必要な“組織的知識”を持つようにします。

また、同エンジンは包括的な可観測性も提供しており、企業はすべての入力および出力を追跡し、AIの意思決定プロセスを可視化することができます。構築された各AIワークフローは、その性能、信頼性、正確性の観点から慎重に評価され、AIモデルが誤作動したり“幻覚”を起こしたりしないようにガードレールも実装されています。

Distyl AIはT-Mobile USAなどの大手企業に対し、価値を生み出すAIプロジェクトの実装を成功させてきました。

同社は、以前Palantir Technologiesで名を上げたArjun PrakashとDerek Hoによって2022年に設立されました。AIのパイロットプロジェクトから十分な成果が得られていないことに気づいた企業が、実際の結果を出す必要性を感じたときに頼るべきコンサルタントとしての評価を高めています。

CEOのPrakashは、同社がクライアントと“成果重視のパートナーシップ”を構築していると語りました。目指しているのは、AIをすぐに業務に組み込み、企業の最大の課題を解決し始めることであり、何か月も会議室で議論を重ねるような従来のコンサルティングとは異なります。同社はOpenAIと緊密に協力し、その最先端の基盤モデルを実際の導入に適応させています。

OpenAIとのパートナーシップにより、Distyl AIは通信、保険、小売、製造、ヘルスケアなどの幅広い業界で多数のクライアントを獲得することができたとしています。ある事例では、名前が明かされていないハードウェアメーカーに対し、サプライチェーンの障害の根本原因分析にかかる時間を80%短縮する支援を行ったとしています。また別のケースでは、あるヘルスケア保険者においてアナリストの調査時間を改善し、年間で$23M以上のコスト削減を実現したと述べています。

今回のラウンドは、同社がこの1年で急成長したことを示す大きな飛躍となります。昨年11月には、LightspeedがリードしたSeries Aで$20Mを調達し、さらに2023年4月にはSeedで$7Mを調達しています。

Distyl AIの支援者たちは、同社がまさに大成功を収める直前であると確信しており、年率約20%で成長しているエンタープライズAI市場のうち、予測されている$300Bの中からかなりのシェアを獲得できると信じています。同スタートアップの従来のコンサルタント企業に対する優位性は、より少人数のチームで、より低コストに、より成功率の高いAI導入を実現できる点です。これが事実であれば、AI自動化を急ぐ多くの企業にとって非常に魅力的な提案となりますが、実際には成果が見えにくいことも多いのです。