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2025/12/25

Startup Portfolio

Enterprise AIのWisdomLabs.AI、社員の「デジタルツイン」で欠員時の意思決定を補完

企業向けAIスタートアップのWisdomLabs.AI(製品名はViven)は、社員の知識と判断を引き継ぐ「デジタルツイン」を提供する構想を掲げ、シードラウンドで3,500万ドルを調達したと発表しました。ラウンドはKhosla Venturesが主導し、Foundation Capital、FPV Ventures、Operator Collective、複数のエンジェル投資家が参加しました。同社は、各従業員の業務知識を共有するだけでなく、状況に応じて意思決定まで支援できる高度にパーソナライズされたデジタル分身を作るとしています。

WisdomLabs.AIが狙う課題は、企業で頻発する「担当者不在による停滞」です。病欠や休暇、他業務で手が離せないといった理由でキーパーソンが不在になると、共同作業をしているチームの進行が止まり、返信待ちが発生します。同社によれば、Vivenを導入すれば、同僚は本人の代わりにデジタルツインへ質問して必要な情報を得られ、待ち時間を削減できます。CTOのAshutosh Garg氏は、各社員にツインがいれば、本人に話しかけるのと同じ感覚でツインに話しかけて回答を得られると述べています。

 

Vivenは、企業内の各社員ごとにカスタムの大規模言語モデルを作り、それをデジタルツインの基盤にすると説明しています。学習対象は、メール、会議メモや録音、チャットスレッド、社内文書など、その人の実際の業務履歴で、担当プロジェクトの状況や意思決定の背景を踏まえた応答ができるようにします。さらに、個人単位だけでなく、部門やチーム全体の知識を統合した「チームレベルのツイン」も提供し、たとえばCEOが経理部門のツインに進捗を確認するなど、特定の個人を探さずに状況把握できる使い方を想定しています。退職などで人が入れ替わる場合にも、組織の記憶を保持する仕組みとして機能するとしています。

一方で、社員のデジタルツインにはプライバシーとアクセス制御の課題があります。私生活に関わる情報は共有したくないことが多く、業務でも機密情報を誰にでも開示できるわけではありません。WisdomLabs.AIは「pairwise context and privacy」と呼ぶ手法で、質問者の権限に応じて開示可否を判断させるとしています。たとえば機密ファイルにアクセスできる人物をモデルが認識し、権限のない相手には情報を出さない設計です。また、私生活に関する質問は検知して回答を拒否するよう学習させるとしています。不適切な質問を抑止する仕組みとして、各社員が自分のツインに投げられた質問の履歴と質問者を確認できるようにし、濫用を可視化します。

 

Constellation ResearchのアナリストHolger Mueller氏は、デジタルツインはAIエージェントの自律性を高め、人の介在を減らす流れの延長線上にあると指摘し、リスクや論点は増えるが「次の論理的ステップ」だと述べています。同社はステルス期間中から導入が進んでおり、Genpact、RedCrackle、Eightfold AIなどが初期導入企業として挙げられています。GenpactのCEOであるBalkrishan Kalra氏は、意思決定の速度と俊敏性を重視する同社文化に合致し、経営層チームでデジタルツインを展開しているとコメントしています。Khosla VenturesのVinod Khosla氏も、企業にとって最も希少な資源は時間であり、全社員のデジタルツインが意思決定の加速に寄与すると述べています。

 

WisdomLabs.AIについて
WisdomLabs.AIは、企業内の各従業員やチームの知識を学習した「デジタルツイン」を構築し、コラボレーションと意思決定を加速するエンタープライズAI企業です。メールや会議記録、チャット、社内文書など業務データを基に、質問への回答だけでなく状況に応じた判断支援も行います。権限に応じた情報開示制御とプライバシー保護の仕組みを組み込み、組織のスピードと記憶を維持する新しい業務基盤の提供を目指しています。

 

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