1. Home
  2. News
  3. 機関投資家向けデジタル資産インフラのFireblocks、Robinhood・SoFi等23社と新ブロックチェーン標準「OTL」を立ち上げ
2026/06/01

Startup Portfolio

機関投資家向けデジタル資産インフラのFireblocks、Robinhood・SoFi等23社と新ブロックチェーン標準「OTL」を立ち上げ

機関向けデジタル資産インフラのグローバルリーダーであるFireblocksは、伝統金融(TradFi)とWeb3ネイティブ組織の双方を対象とした、機関投資家向けオンチェーン金融のオープン標準「Open Transaction Layer(OTL)」を発表しました。OTLは「共有された協調レイヤー(shared coordination layer)」と位置付けられ、機関同士のブロックチェーン上での取引においてアイデンティティ(identity)、セッション(session)、トランスポート(transport)、メッセージング(messaging)の各レイヤーで共通の標準を提供することを目的としています。Fireblocksは2025年12月に立ち上げたコンプライアンス向け「Blockchain Payments Consortium(BPC)」(Monad、Polygon、Solana、Stellar、Sui、TONなど主要ブロックチェーンの財団が参加)を起点として、今回のOTLによって機関向けオンチェーン取引における標準化を大きく一歩前進させる構想です。

 

OTLの背景には、ブロックチェーンが本来約束した「機関間の価値移転をシンプルにする単一の真実の情報源(single source of truth)」が、実際の機関導入においてはコンプライアンス、アイデンティティ、カウンターパーティ調整のための新たな統合複雑性を生み出してしまっているという「居心地の悪い真実」があります。FireblocksのCEOは公式ブログで、OTLをインターネットを支える「TCP/IPプロトコル」になぞらえ、TCP/IPがDNS(ドメイン解決)、SSL(セキュリティ)、HTTP(トランスポート)といった層がその上に積み上がるまでスケールしなかったのと同様に、機関向けオンチェーン金融も標準層がなければスケールしないと論じています。Fireblocksの共同創業者兼Chief Product OfficerであるIdan Ofrat氏は、「規制対象の金融機関は、デジタル資産オペレーションをエンドツーエンドで運用するために、個別のベスポーク接続を構築せざるを得ません。その結果、統合の乱立と並行システムが生まれ、それらは互いに照合できません。このような標準は、単一のベンダーが出荷できるものではなく、実際に実装している当事者たちが構築する『オープンイニシアチブ』としてのみ機能します」とコメントしています。

 

OTLの創設メンバーは極めて広範で、Fireblocksおよび既存BPCメンバーに加えて、B2C2、Checkout.com、Coins.ph、Cross River Bank、eToro、FalconX、MetaMask、Moonpay、Orbital、Stripe傘下のPrivyおよびBridge、Robinhood、Securitize、SoFi、Taptap Send、Tazapay、Triple-A、WalletConnect、Wintermute、Xendit、Zengo、Zerocap、zerohashが名を連ねます。一方で、暗号資産取引所大手のCoinbase、Binance、Krakenや、主要ステーブルコイン発行体のCircle、Tetherといった顔ぶれが現時点で含まれていない点も、業界内で注目を集めています。これらの不参加が単なるタイミングの問題なのか、自社中心の標準を志向しているのか、それともOTL自体の設計に対する戦略的な見解の相違なのかは、今後の動向次第ですが、現段階でも創設メンバーの広がりはRobinhoodやSoFiといった上場フィンテックから、Wintermute・FalconXのような大手マーケットメーカー、Securitizeのようなトークン化プラットフォーム、MetaMask・WalletConnectといったWeb3ネイティブインフラまでをカバーしており、機関向けオンチェーン金融における「次のスタック」が形成されつつあることを示しています。

 

Fireblocksについて
Fireblocksは、2018年に米国ニューヨーク市で、Michael Shaulov氏(CEO)、Idan Ofrat氏(CPO)、Pavel Berengoltz氏の3名によって創業された、機関投資家向けデジタル資産インフラを提供するスタートアップで、研究開発拠点はイスラエルのテルアビブにあります。創業チームは全員サイバーセキュリティのバックグラウンドを持ち、ShaulovとBerengoltzはかつて共同創業したモバイルセキュリティ企業Lacoon Mobile SecurityをCheck Point Softwareに2015年に1億ドルで売却した実績を持つほか、ShaulovはイスラエルのUnit 8200(精鋭軍事技術部隊)出身でイスラエル大統領功労賞を受章し、Ben-Gurion Universityでコンピュータサイエンスと物理学を修めています。Fireblocksの中核プラットフォームは、MPC-CMP(マルチパーティ計算)ベースの鍵管理、トランザクションポリシーエンジン、ノード接続、トランスファーネットワーク(Fireblocks Network)、ステーブルコイン決済、トークン化、ウォレット・アズ・ア・サービス(Wallet-as-a-Service)といった機能を統合的に提供し、銀行、フィンテック、ヘッジファンド、暗号資産取引所、決済企業など800社超に採用され、累計2兆ドルを超えるデジタル資産トランザクションを処理してきたとされています。資金調達面では、2018年の設立以降6回のラウンドで累計約10.4億ドルを調達し、2022年1月のSeries E(5.5億ドル)時点で評価額80億ドルに到達。投資家にはSequoia Capital、Spark Capital、D1 Capital Partners、General Atlantic、Index Ventures、Alphabet傘下のCapitalG、Altimeter、Iconiq Strategic Partners、Coatue、Stripes、BNY Mellon、Paradigm、Ribbit Capital、Cyberstartsなど、フィンテック・ブロックチェーン・サイバーセキュリティ領域を代表する国際的なファンド群が名を連ねます。BPCに続くOTLの立ち上げは、Fireblocksが単なる「ベンダー」から「機関向けオンチェーン金融の標準を作る業界コーディネーター」へとポジションを進化させようとしていることを象徴しています。

 

TagsWeb3Cyber SecurityUnited States

関連ニュース

Contact

AT PARTNERSにご相談ください