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表形式データの予測精度を高める企業向け基盤モデルのFundamental、表形式データ特化AI「NEXUS」を発表
Fundamentalは、企業が保有する表形式データを対象にした基盤モデル「NEXUS」を発表しました。San Franciscoを拠点とする同社は、DeepMind出身者らが共同創業したAI企業で、今回の発表とあわせて総額2億5500万ドルの資金調達も明らかにしています。NEXUSは、ERP、CRM、財務台帳などに蓄積された行と列から成る構造化データを、単なるテキストやPDFの一種としてではなく、非線形な関係が張り巡らされた複雑な情報空間として理解するよう設計されています。これまで企業が需要予測やリスク予測を行う際には、手作業による特徴量設計や、XGBoostやRandom Forestのような従来型の機械学習アルゴリズムに大きく依存してきました。こうした手法は、ユースケースごとにデータの加工やクリーニング、パイプライン構築が必要であり、多くのデータサイエンティストと長い開発期間を要するものでした。Fundamentalは、このプロセスを大幅に簡素化し、表データ向け基盤モデルによって予測インテリジェンスをより汎用的かつ高速に提供しようとしています。
FundamentalのCEO兼Co-founderであるJeremy Fraenkelは、世界で最も価値のあるデータの多くは表の中に存在するにもかかわらず、それを理解するための適切な基盤モデルはこれまで存在しなかったと説明しています。同氏によれば、AI業界はテキスト、音声、動画に注目してきましたが、企業にとって最大のデータ形式は依然として表形式データであり、既存の大規模言語モデルはこの種のデータを十分に扱えないとしています。その理由の一つが、数値の扱い方です。従来の大規模言語モデルは、単語と同じように数値もトークンに分解して処理します。例えば2.3という数値を「2」「.」「3」という別々のトークンとして扱うため、数の分布や意味を本質的に理解しにくいという問題があります。また、表形式データは言語と異なり列順に依存しないことが多く、例えば患者データで身長と体重の列が入れ替わっても予測結果が変わるべきではありません。NEXUSはこうした特性を前提に設計されており、列や行にまたがる潜在的なパターンや非線形な相互作用を捉えることを目指しています。
NEXUSはAmazon SageMaker HyperPodを用いて、数十億規模の実世界の表形式データセットで学習されたとされています。従来型モデルのように、人間が事前にどの特徴量を見るべきかを細かく定義する必要はなく、生のテーブルをそのまま入力し、ターゲット列を指定するだけで回帰や分類の予測を返す仕組みです。Fundamentalは、これにより従来は数カ月かかっていた予測モデル構築が、実質的に一行のコードで始められる世界を目指しているとしています。同社は、自社の技術が数式作成や表計算支援とは異なる「予測レイヤー」で動くことを強調しています。AnthropicのClaudeのようなモデルがExcel内で数式や要約を支援するのに対し、NEXUSは次の行に何が起きるかを予測することに主眼を置いています。たとえば、クレジットカード利用時点での不正検知、工場設備の故障予測、病院での再入院確率の推定といった、人間が即時には介在しない判断を支える用途が想定されています。
商用面でもFundamentalは、従来のエンタープライズソフトウェア導入の摩擦を減らす設計を採っています。AWS MarketplaceにおいてAWSが販売主体となる仕組みを通じて、企業は既存のAWSクレジットを使ってNEXUSを調達・導入できます。さらに、データプライバシーへの懸念に対応するため、モデルのアーキテクチャと重みを暗号化したまま顧客環境内に配備できる仕組みも構築したとしています。これにより、機密性の高い企業データを外部インフラへ移さずに運用できる点を差別化要素としています。
Fundamentalは、NEXUSの用途を収益性向上にとどまらない社会的価値にも広げています。センサーデータと保守記録を分析して配管腐食を予測し、水質汚染のような重大事故を未然に防ぐことや、製造データと疫学データを用いてPPE不足を需要ピークの4〜6週間前に予測すること、さらに30〜60日先の洪水や干ばつの予測、患者属性や社会的要因を踏まえた再入院リスクの予測などが挙げられています。構造化データの中に埋もれたシグナルを見つけ出すことで、企業だけでなく社会全体の意思決定を改善できると同社は見ています。Fundamentalは2024年設立で、Oak HC/FTが主導した2億2500万ドルのSeries Aを含む総額2億5500万ドルを調達しています。Salesforce Ventures、Valor Equity Partners、Battery Venturesも参加しており、Perplexity、Wiz、Brex、Datadogの関係者らもエンジェル投資家として名を連ねています。San Franciscoを拠点に約35人の体制で、企業の意思決定を支える新しいAIカテゴリーの確立を目指しています。
Fundamentalについて
Fundamentalは、企業内の大規模な表形式データに潜む予測力を引き出すことを目指して2024年に設立された米国のAI研究企業です。金融、医療、小売、産業分野などで使われる膨大な構造化データを対象に、予測分析、需要予測、リスクモデリングのための基盤モデル「NEXUS」を提供しています。既存のデータ基盤に接続しやすい形で導入できることや、ガバナンス、精度、処理性能を重視している点が特徴で、Fortune 100企業との契約も進めながら、ミッションクリティカルな分析業務向けの新しいAI基盤を築こうとしています。
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