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日本の製薬会社 住商ファーマインターナショナルがイスラエルのCytoReason社にAI医薬品開発を依頼
人工知能を利用して人間の免疫システムや病気のデジタルモデルを構築し、医薬品開発のスピードアップを図るイスラエルのスタートアップ、CytoReasonは、機械学習プラットフォームを日本の臨床創薬分野に統合するために、日本の住商ファーマインターナショナルと提携したと発表しました。CytoReasonと住商ファーマインターナショナルは、米国と中国に次ぐ世界第3位の規模を誇る日本の製薬業界へのイスラエルのスタートアップ企業の参入を促進するために、2年以上にわたって協力してきました。今回の提携は両社にとって初めての正式な提携であり、「免疫学における薬剤の評価を高めるために、疾患のメカニズムと薬剤のMoA(作用機序)の関係を探る」と発表で述べています。
CytoReason社は、同社が開発した計算技術を、免疫システムをナビゲートするGPSのようなものとして医薬品メーカーが利用できるようにするために、2016年に設立されました。この機械学習ソフトウェアは、社内のデータや免疫系に関する発表された研究、その他の臨床研究など、さまざまなソースからデータを収集して組み合わせることで、疾患の生物学に関する洞察を見出します。そして、この技術は、人体のデジタル計算シミュレータを構築し、それを用いて薬剤に対する反応を予測することで、どの薬剤が患者に最も効果的であるかを導き出します。
CytoReasonのCEOで共同設立者のDavid Harel氏は、The Times of Israelの電話インタビューに対し、次のように述べています。「製薬会社は、動物実験や臨床試験を待つのではなく、AIを使って反応をシミュレーションし、当社のプラットフォーム上で薬を開発することができます。これは、コスト削減にもつながります。創薬・開発においては、コストと時間が大きな要因となります。新薬の開発には、平均して数十億ドルの費用と10年近くの時間がかかりますが、これはプロセスに伴う長期的な試験や研究室での作業のためです。新薬開発の平均的な研究開発額を調査した2016年の調査によると、市場承認後のコストは14億ドルから28億ドルになることがわかりました。」
CytoReasonはすでに、ファイザー、フランスの製薬会社サノフィ、スイスの製薬会社フェリングとロシュ、英国のGSKなど、そこそこ大手のグローバル製薬会社と提携しています。ファイザー社との共同研究では、「免疫学部門と腫瘍学部門におけるヒト疾患の計算モデル」に取り組んできました。この共同研究では、これまでに、ある疾患の生物学的標的や、ループスや炎症性腸疾患(IBD)などの特定の自己免疫疾患で上昇するタンパク質であるCCR6を妨害する実験的化合物に関する研究が行われました。IBDとは、消化器系に影響を及ぼす生涯にわたる慢性疾患で、クローン病や潰瘍性大腸炎などがあります。IBDは、クローン病や潰瘍性大腸炎など、消化器系に影響を及ぼす生涯にわたる慢性疾患です。
CytoReasonは、サノフィとの共同研究では、喘息患者のための新しい治療法の開発を中心に行っており、フェリングとの共同研究では、IBD患者のための新しい治療法を中心に行っています。
今回の住商ファーマインターナショナルとの提携は、CytoReasonにとって欧米以外では初の試みとなります。Harel氏は、次のように述べています。「日本の製薬業界において重要な役割を担っている企業と、日本市場に参入できることを大変嬉しく思います。今回の提携は、当社および世界の製薬業界にとって意義深い一歩となります」
また、住商ファーマインターナショナル社の社長兼CEOである奥山勝也氏は、次のように述べています。「サイトリーズンとの協力関係を通じて、今後もヘルスケア業界に貢献していきます」
住商ファーマインターナショナルは、世界66カ国に113の拠点を持つグローバルな商社である住友商事の子会社です。
CytoReasonは、テルアビブに本社を置き、イスラエル、米国、ヨーロッパで約65名の従業員を擁しています。同社の技術は当初、テクニオン(イスラエル工科大学)で開発されました。
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