イスラエルのハイテク資金が2021年に2倍以上、260億ドルに迫る

IVCリサーチによると、イスラエルのハイテク企業の2021年の資金調達額は780案件で約260億ドルに達し、これに対し2020年は604案件で約110億ドルでした。驚異的な上昇の理由の1つは、この1年で1社に1億ドル以上の投資が突然一般化したことです。イスラエル・イノベーション庁（IIA）が6月16日に発表した「2021年イノベーションレポート」によると、こうしたメガラウンドの数は過去5年間でほぼ7倍に増えています。2021年上半期、IVC-Meitarは1億ドルを超える投資が38件だったと報告しています。12月中旬までにStart-Up Nation Centralは、その数を74件とし、2020年全体の22件と比較しています。1年の締めくくりとして、12月に1億ドル以上の大台に乗ったイスラエル企業8社について取り上げます。

1) 拡張モノのインターネット（XIoT）向けのサイバーセキュリティ企業であるClarotyが、シリーズE資金で4億ドルを調達し、イスラエルのヘルスケアIoTセキュリティ企業であるMedigateを買収する契約を締結しました。Clarotyの資金調達額はこれで合計6億3500万ドルとなり、産業、ヘルスケア、エンタープライズIoT分野で最も資金力のあるサイバーセキュリティ企業となりました。

2) Future Meat Technologiesは、シリーズBラウンドで北米、欧州、アジアの投資家から3億4700万ドルを調達し、培養肉を生産する革新的技術のさらなる開発に充てます。Future Meatの創業者兼社長であるYaakov Nahmias教授は、創業3年のスタートアップが2022年に米国で大規模な生産施設を着工すると述べています。同社は、わずか半年前には1ポンドあたり18ドル以下だった養殖鶏の胸肉を、現在は7.70ドルで生産できるようになりました。

3) FinTech大手のTipalti （ヘブライ語で「私たちが処理した」という意味）は、シリーズF資金として2億7000万ドルを調達し、評価額は83億ドルとなりました。Tipaltiは現在、年間決済総額300億ドル以上を処理し、前年比120％の成長を遂げており、最近、ロンドン、テキサス、トロントに新しいオフィスを開設し、顧客数2,000人の大台を突破しました。

4) UBQ Materialsは、家庭ごみから気候変動に配慮した熱可塑性素材を製造しており、TPGライズが主導する1億7000万ドルの資金調達ラウンドを実施しました。この資金は、2022年末までに稼働予定のオランダの大規模施設を手始めに、UBQのグローバル展開に充てられます。また、12月には、UBQは、2021年SEALビジネスサステナビリティアワードの受賞者として発表されました。

5) サイバーセキュリティ・スタートアップのNoname Securityは、1億3,500万ドルのシリーズCラウンドでユニコーンの地位を達成しました。わずか1年前にステルスモードから登場したNonameは、世界5大製薬会社のうちの2社、世界3大小売業者のうちの1社、世界3大通信会社のうちの1社と取引していると言われています。

6) 医薬品開発会社1E Therapeuticsが1億2,000万ドルのシードラウンドを調達しました。1E社のリード化合物は、腫瘍、加齢性疾患、免疫学、抗菌耐性、ウイルス感染、希少神経疾患などの適応症に対応しています。

7) First Digital BankはシリーズAラウンドで1億2千万ドルを調達し、評価額は3億2千万ドルでした。投資家には、スイスの資産管理グループJulius Baer、日本の金融コングロマリットSBI、中国のテクノロジー企業Tencentが含まれています。

8) CyCognitoは1億ドルを調達しました。サイバーセキュリティの新興企業のプラットフォームは、攻撃者の侵入口となる可能性のあるインターネットに公開された資産や管理されていない資産を特定するものです。