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AIロボティクスの1X、人型ロボット「Neo」で家庭用ロボット市場に参入
AIを搭載したヒューマノイド(人型ロボット)が家庭に入り込む時代が、すぐそこまで近づいています。AIスタートアップの1Xは今年中に、家庭内で日常の家事をサポートするヒューマノイドロボット「Neo」を米シリコンバレーを中心とした100軒以上の家庭に送り込む計画を発表しました。ノルウェー出身のエンジニアで、1XのCEO兼創業者であるBernt Børnichは、自宅を訪れた記者に自身のロボット「Neo」を披露しました。Neoはすらりとした人間らしい体型を持ち、ドアを開けたり、冷蔵庫から飲み物を取り出したりといった簡単な作業をこなしました。ただ、現時点ではNeoが自律的にこれらの作業を行っているわけではなく、離れた場所にいる技術者がVRヘッドセットとジョイスティックを通じて遠隔操作しています。
1Xはこれまでに1億2500万ドルを超える資金を調達しており、Google出身のAI研究者Eric Jangと協力して、家庭で役立つ実用的なヒューマノイドロボットの開発を進めています。特に注目すべきは、Neoの歩行やバランス制御をシミュレーション空間でAIが習得し、それを実際のロボットに移植することに成功した点です。ただ、複雑な家事(洗濯や食器洗い機の利用など)については、家庭内で実際のデータを収集しながら学習を進めていく必要があります。こうした家庭向けロボットを開発する動きは、イーロン・マスク氏率いるTeslaの「Optimus」をはじめ、ApptronikやFigure AIなど多数の企業が取り組んでいます。しかし、多くの企業が倉庫や工場といった整備された環境向けに開発を進めるなか、1Xはあえて複雑で予測困難な家庭環境においてNeoを投入し、大量のデータ収集を通じてロボットの性能を高める戦略を取っています。
Neoが家庭に入ることで懸念されるプライバシー問題について、1Xはユーザーが専用のスマホアプリで許可を与えた場合のみ、遠隔技術者がロボットを制御できるようにすると説明しています。また収集した映像データも、ユーザーが許可したものだけをAI学習に利用するとしています。現時点でNeoの価格は未定ですが、小型車と同程度の数万ドル規模になる見通しです。まだ技術的課題も多く、転倒や操作ミスも見られますが、1XはNeoが実際の家庭内でのデータ収集を通じて自律性能を高め、やがては日常の家事をこなす真の「家庭用ロボット」になることを目指しています。
1Xについて
1XはAIとロボティクスを活用し、人間のような外観と動作を持つヒューマノイドロボットを開発するスタートアップ企業です。ノルウェー出身のエンジニアであるBernt Børnichと、Google出身のAI研究者Eric Jangが中心となり設立されました。同社は「Neo」や「Eve」などのロボットを開発しており、これらを家庭や企業向けに提供することで、日常生活における作業を人間に代わってサポートし、将来的には家庭内の雑務を全面的に引き受けることを目標としています。
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