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2026/05/27

Startup Portfolio

LLMのAnthropic、Claudeのエンタープライズ・セキュリティ&コンプライアンス領域を28の新規インテグレーションで一気に拡張

フロンティアAI企業のAnthropicは、自社AIアシスタント「Claude」を企業のIT環境内で「マネージ可能かつガバナンス可能」なツールへ位置付けることを目的に、28件のセキュリティおよびコンプライアンス・プラットフォームとの新規インテグレーションを発表しました。今回のインテグレーションは17社のセキュリティおよびコンプライアンス・プロバイダーにまたがり、データ・ロス・プリベンション(DLP)、セキュア・アクセス・サービス・エッジ(SASE)、データセキュリティ、SIEM(セキュリティ情報イベント管理)、セキュリティオペレーション、アイデンティティ管理、eディスカバリ、AIセキュリティ・ポスチャマネジメント、オブザーバビリティといった主要なエンタープライズ・セキュリティ・カテゴリを広範にカバーします。具体的なパートナーには、Cloudflare、Cribl、CrowdStrike、Cyera、Datadog、Forcepoint、Fortinet、Geordie AI、IBM Guardium、Microsoft Purview、Mimecast、Netskope、Okta、Palo Alto Networks、Proofpoint、Relativity、Wiz、Zscalerといった、エンタープライズ・セキュリティ業界を代表する顔ぶれが名を連ねています。

 

技術的なコアは、新たに公開された「Claude Compliance API」です。これはClaude EnterpriseおよびClaude Platformの顧客向けに提供されるREST APIで、企業のITおよびセキュリティチームに対し、Claudeのアクティビティおよびコンテンツデータへのプログラマティック(プログラム経由)アクセスを提供します。具体的にアクセスできるデータは2つに大別されます。1つ目は「カンバセーションコンテンツ」で、Claude Enterprise上のチャット、アップロードされたファイル、およびプロジェクトといった会話側のコンテンツを対象としており、企業はこのデータに対して既存のセキュリティ、モニタリング、DLPポリシーを適用できます。2つ目は「アクティビティイベント」で、Claude EnterpriseおよびClaude Platformにおけるユーザーログイン、アドミンアクション、コンフィグレーション変更などのイベントログを対象とし、組織内におけるClaudeの利用状況に対する包括的な可視性を提供します。Netskopeはこれを、「マニュアルエクスポートと定期レビューに依存する代わりに、Claude利用データおよび顧客コンテンツへのリアルタイムなプログラマティックアクセスを通じて、継続的モニタリングと自動ポリシーエンフォースメントのシステムを構築できるようにするREST API」と説明しています。要するに、すでにDatadog、Netskope、Proofpoint、Microsoft Purviewといったプラットフォームをエンタープライズで運用している組織は、自社の既存ダッシュボードにこのAPIを接続するだけで、Claudeを「他の業務アプリケーションと同じガバナンス・モニタリングのレールに乗せる」ことができる、という構造です。

 

戦略面では、本リリースはAnthropicによる「エンタープライズAIのガバナンス・スタック」構築の継続的な動きの中に位置付けられます。同社はClaude Enterpriseを2024年にローンチして以来、エンタープライズ顧客が要求するセキュリティ、コンプライアンス、ガバナンスの要件を満たすための機能群を段階的に整備してきており、直近では2026年4月にAIワークフロー上のセキュリティイシューを検出するAI駆動型のスキャニングツール「Claude Security」をパブリックベータで投入しています。今回の28件のインテグレーションは、これに続く動きとして、CISOおよびエンタープライズリスク管理者に対し、「新しいモニタリングインフラを構築する必要はなく、既存のスタックがそのまま使える」というメッセージを明確に打ち出すものです。CrowdStrikeはFortune 500の多くで導入されているエンドポイント検出プラットフォームで、Microsoft Purviewはマイクロソフト365を運用する組織のコンプライアンスワークフローに深く埋め込まれている存在ですが、Anthropicがこれらにネイティブで接続することで、エンタープライズへのClaude採用障壁を実質的に大きく引き下げる構造を作り出しています。AIのエンタープライズ採用が急増する一方で、データセキュリティ、規制リスク、エシカルAI利用への懸念も増しているなかで、Anthropicは「Claudeを使うこと」と「企業のIT/セキュリティ標準を維持すること」を両立させる選択肢を整備しにいくフェーズに入っており、フロンティアAIモデルの能力進化(Mythosによる脆弱性検出など)と並行して、それを安全に運用するためのインフラ整備の両軸でアジェンダを進めています。あわせて、現時点でネットワークに参加していないセキュリティベンダーに対しても、Anthropicは参加申請のドアを開く形を取っており、エンタープライズ・セキュリティ・エコシステムの中心ハブとしてのClaudeの位置付けを意識した動きとなっています。

 

Anthropicについて
Anthropicは、Dario Amodei(CEO)とDaniela Amodei(社長)を中心に、OpenAIなどでフロンティアAI開発の最前線にいた研究者・エンジニアによって2021年に設立された、米国・カリフォルニア州サンフランシスコを本社とするAI研究・開発企業で、安全性、解釈可能性、整合性(アラインメント)を軸に据えた「フロンティアAI」開発をミッションに掲げています。同社の主力プロダクトはAIアシスタント「Claude」シリーズで、Claude Opus、Claude Sonnet、Claude Haikuといった用途別のモデルラインを提供しており、APIに加え、CLIベースのコーディングエージェントClaude Code、ブラウザ/スプレッドシート/デスクトップ向けエージェント、エンタープライズ向けの「Claude Enterprise」「Claude Platform」「Claude Compliance API」、AI駆動型セキュリティスキャナの「Claude Security」、そしてフロンティア・サイバーセキュリティモデルのMythosと、それを軸とした「Project Glasswing」イニシアチブといった研究・プロダクトを並行で展開しています。研究面では、メカニスティック・インタプリタビリティ(モデル内部回路の解釈)研究、レッドチーミング、責任あるスケーリングポリシーといった、フロンティアモデルの能力上昇と安全性の両立を狙う取り組みを推進しており、2026年時点ではAmazon、Google、世界中の主要エンタープライズによってClaudeが採用されています。資金調達面でもグローバルAIラボの最有力ティアに位置し、近年は数十億ドル規模の累計調達と数千億ドル規模の評価額が報じられ、研究投資、コンピュートインフラ調達、安全性・解釈可能性チームの拡張に資金を振り向ける構造を確立しています。

 

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