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2026/04/17

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AIのConduit Intelligence、非侵襲BCIで思考からテキストとソフトウェア操作を実現する脳・コンピュータ接続基盤

Conduit Intelligenceは、脳活動の信号をソフトウェアで使える入力へと変換する、非侵襲型のブレイン・コンピュータ・インターフェースを開発する米国スタートアップです。Conduit Intelligenceはサンフランシスコで大規模な神経言語データ収集を進めており、思考をテキストへ変換する実用的な仕組みの構築を目指しています。「high-bandwidth direct brain-to-computer communication」を掲げ、非侵襲のthought-to-textシステムを開発しています。

 

Conduit Intelligenceの狙いは、脳信号を研究室のデモにとどめるのではなく、日常的なコンピューティング操作に結び付けることにあります。公式サイトでは、利用者がヘッドセットを装着して入力を始めると、ソフトウェアがその思考の手がかりをもとに文章完成を支援する仕組みを説明しています。これは単なる補助入力ではなく、思考を起点に文字入力やアプリケーション操作をより自然に行える新しいインターフェースを目指すものです。人が最終的な判断権を持ち続ける「human-in-the-loop」の思想も明確に打ち出されており、完全自律ではなく、人間の意図と監督を中核に置いた設計であることが特徴です。

 

最近の報道で特に注目されたのは、同社が大規模データを先に集めることで、脳信号解読モデルの精度向上に挑んでいる点です。Indian Expressは、Conduit Intelligenceが過去6カ月で約1万時間の非侵襲神経記録データを収集したと伝えています。さらに同社の技術ブログでも、数千人規模の被験者から約1万時間の「neuro-language data」を集めたと説明しており、同社はこれを世界最大級の神経言語データセットだと位置付けています。ブレイン・コンピュータ・インターフェースの分野では、良質かつ大量のデータ不足が性能改善の大きな制約になりやすいため、Conduit Intelligenceはまず学習基盤そのものを拡張する戦略を取っているといえます。このデータ収集方法も興味深いです。記事によると、参加者はサンフランシスコの収集拠点でヘッドセットを装着し、コンパクトなブース内で2時間のセッションに参加します。セッションでは、参加者が自由に話したり、読んで入力したりしながら、脳関連信号、音声、テキストを時間同期した形で記録します。同社ブログでは、初期には「この文を書き直す」といった構造化タスクも試したものの、より自然な会話の方が豊かな言語データと良い整合を生むと分かり、LLMとの自由な会話中心へ移行したと述べています。これは、脳信号と自然言語の対応関係をより実用的な条件で学習させるための工夫と考えられます。

 

技術面では、Conduit Intelligenceは市販の脳波計だけでは足りないとして、自社でハードウェアを構築している点が重要です。Indian Expressによれば、同社はEEGに加え、functional near-infrared spectroscopyなどの追加センサーを組み合わせた重い3Dプリント製の訓練用ヘッドセットを用いています。同社ブログでも、学習用には多くの信号を取り込む大型構成を使い、推論向けにはより軽量な形へ展開していく考えが示されています。つまりConduit Intelligenceは、研究開発段階ではデータ密度を最大化し、その後に実運用しやすい装着性へ落とし込む二段構えで前進しているとみられます。また、同社のアプローチは単なる脳信号の分類ではなく、脳信号と大規模言語モデルを組み合わせる方向にあります。ブログでは、被験者が実際に話す、またはタイプする直前の数秒間の神経データを使って、言語化前のアイデアを捉えようとしていると説明しています。さらに、その予測例として、脳データだけから文章の意味に近い出力を得る例も示されています。これは、低帯域の生信号をそのまま文字へ直結するのではなく、脳信号から抽出した意味の手がかりを言語モデルで補完して、より高速で実用的なthought-to-text体験につなげようとしていることを示唆しています。これは公開情報に基づく推論ですが、同社サイトが掲げる「software completes your sentences from your thoughts」という説明とも整合しています。

 

Conduit Intelligenceの差別化は、侵襲的な埋め込み型ではなく、非侵襲でありながら高帯域な入力体験を目指している点にあります。思考から直接コンピュータへつなぐ高帯域通信を掲げつつ、人間をループの中に残すと明記しています。これは、利用者が自分の意思で確認しながら文章作成やアプリ操作を進める設計思想であり、安全性や信頼性の面でも重要です。特に、テキスト入力やアプリナビゲーションのような日常的ユースケースに焦点を当てている点は、医療補助のみに閉じない新しいコンピューティング体験の提案として注目されます。現時点で、同社の資金調達額や投資家、企業評価額に関する公式な公開情報は今回確認できませんでした。公開されている情報を見る限り、Conduit Intelligenceは現在も研究、試作、参加者募集、データ収集を強く進めている段階にあります。したがって、同社はまず技術的成立性と実用精度の向上を優先し、その後により広い製品展開へ進もうとしている段階だと理解するのが妥当です。

 

Conduit Intelligenceについて
Conduit Intelligenceは、非侵襲型の脳・コンピュータ・インターフェースを開発する米国スタートアップです。脳信号をテキスト入力やソフトウェア操作に変換することで、より直感的で高帯域な人間中心のコンピューティング体験を実現しようとしています。大規模な神経言語データ収集、自社開発ヘッドセット、言語モデルを組み合わせたthought-to-text技術を軸に、実用的な脳入力インターフェースの構築を進めています。

 

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