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自己免疫疾患向け精密医療を開発するバイオ医薬品企業のOdyssey Therapeutics、$100M規模のIPOを再申請
Odyssey Therapeuticsは、自己免疫疾患および炎症性疾患向けの精密治療薬を開発する臨床段階のバイオテクノロジー企業として、米証券取引委員会に対し、最大$100Mの新規株式公開を再申請しました。同社は2025年1月にも同規模のIPOを申請していましたが、同年6月にいったん取り下げており、今回あらためて上場計画を進める形です。Nasdaqでは「ODTX」のティッカーでの上場を予定しています。
Bostonを拠点とするOdyssey Therapeuticsは、免疫生物学と創薬の知見を活用し、自己免疫疾患や炎症性疾患の原因となる重要なシグナル伝達経路を特定し、それを精密に制御する治療薬の開発を進めています。既存治療の選択肢が限られる炎症性腸疾患やループスなどの領域に焦点を当てており、深く持続的な寛解の実現を目指している点が特徴です。同社のリードプログラムには、RIPK2およびSLC15A4を標的とする経口の低分子候補薬が含まれています。中でも最も開発が進んでいるOD-07656は、RIPK2を標的とする低分子の足場阻害薬であり、潰瘍性大腸炎およびCrohn’s diseaseを対象としたPhase II試験が進行しています。潰瘍性大腸炎では初期の臨床有効性も示されており、同社の開発パイプラインの中心を担っています。これに加え、アトピー性皮膚炎、化膿性汗腺炎、変形性関節症向けの低分子プログラムや、ループス、白斑、1型糖尿病を対象とするタンパク質治療薬も開発しています。さらに、前臨床段階ではIRAK4の足場阻害薬やTNFR2を標的とするアゴニスト型タンパク質治療薬も進めており、免疫経路を多面的に制御する幅広い戦略を打ち出しています。
Odyssey Therapeuticsの強みは、単一の創薬手法に依存しない統合型の創薬基盤にあります。同社は、標的生物学、メディシナルケミストリー、構造化学、物理ベースの分子シミュレーションに加え、AIと機械学習を組み合わせることで、従来は攻略が難しかった高価値標的の探索と最適化を進めています。Rahkoの買収によって量子機械学習の能力も取り込み、候補化合物の特定と最適化の高速化を図っています。この技術基盤は、複雑な免疫シグナルをより精密に制御する創薬アプローチの中核となっています。また、外部との戦略的連携も研究開発を後押ししています。Janssenとの提携では、AIを活用した低分子創薬を通じて創薬難易度の高い標的に取り組んでいます。Terray Therapeuticsとの協業では、Odyssey Therapeuticsの転写因子に関する知見とTerray TherapeuticsのtNovaプラットフォームを組み合わせ、ファーストインクラスとなる転写因子治療薬の開発を目指しています。低分子とタンパク質治療薬の両方を視野に入れたモダリティ非依存の戦略によって、免疫疾患領域での差別化を図っています。
事業基盤の整備も進んでいます。同社は、Vertexの幹部であるNia Tatsis, Ph.D.を取締役に迎えたほか、Jolie M. SiegelをExecutive Vice President兼General Counsel、Jason HaasをChief Financial Officerに任命しました。さらに、Stephen Blacklow, M.D., Ph.D.が議長を務めるScientific Advisory Boardを設置し、IFM TherapeuticsのCEOであるH. Martin Seidel, Ph.D.も加えることで、創薬、トランスレーショナル研究、ポートフォリオ戦略の体制を強化しています。こうした経営・研究両面での強化は、臨床開発の加速と初期段階パイプラインの拡充を支える狙いがあります。2025年12月期の12カ月間の売上高は$3Mでした。まだ商業化前の段階にある企業として売上規模は限定的ですが、Phase II段階の主要プログラムを抱え、複数の前臨床資産と先端的な創薬基盤を持つことから、資本市場での評価が注目されます。今回のIPO再申請は、自己免疫疾患領域で次世代の精密医療を目指すOdyssey Therapeuticsが、開発を一段と前進させるための重要な資金調達の動きといえます。
Odyssey Therapeuticsについて
Odyssey Therapeuticsは、2021年に設立された米国の臨床段階バイオ医薬品企業です。自己免疫疾患および炎症性疾患向けに、深く持続的な寛解を目指す精密医薬品の開発に取り組んでいます。RIPK2やSLC15A4などの免疫シグナル経路を標的とする低分子候補薬に加え、ループスや1型糖尿病などを対象とするタンパク質治療薬も開発しています。AI、機械学習、分子シミュレーション、構造化学を統合した創薬基盤と、外部企業との戦略提携を通じて、従来は創薬が難しかった標的に対する新しい治療法の創出を目指している点が特徴です。
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