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安全性重視のナトリウムイオン蓄電池のAlsym Energy、ESS Techと8.5GWh規模の戦略提携
鉄フロー電池を手がけるESS Tech Incは、米国のナトリウムイオン電池スタートアップAlsym Energyと戦略的提携に向けた基本合意書を締結しました。4月30日に発表されたこの提携により、ESS TechはAlsym Energyのナトリウムイオン電池セルとモジュールを8.5GWh規模で自社ポートフォリオに加える予定です。この提携は、ESS Techにとって短時間および中時間の蓄電システム市場への本格参入を意味します。同社はこれまで、長時間エネルギー貯蔵に注力してきました。特に、データセンターや大規模電力需要家向けに、12〜14時間の放電に対応するEnergy Baseを主力製品として位置付けていました。2025年度の決算では、純損失が$63.4Mとなり、前年度から$22.8M改善しましたが、収益化に向けて長時間蓄電に戦略を絞る姿勢を強めていました。
一方で、今回のAlsym Energyとの提携により、ESS Techは長時間蓄電だけでなく、数時間単位の高出力、急速な充放電、迅速な応答が求められる用途にも対応できるようになります。ESS TechのCEOであるDrew Buckleyは、Alsym EnergyのNa-Seriesは短時間および中時間用途に適しており、同社のEnergy Base鉄フロー電池は8〜24時間の長時間用途に適していると説明しています。両社の技術を組み合わせることで、リチウムに依存しない統合的な蓄電プラットフォームを提供できるとしています。
Alsym Energyは、可燃性や毒性を抑えた、リチウムおよびコバルトを使用しないナトリウムイオン蓄電池を開発しています。同社は2025年にNa-Seriesを発表し、データセンターや再生可能エネルギー向けの安全性とコスト効率を重視した蓄電ソリューションとして位置付けています。CEO兼共同創業者のMukesh Chatterは、ナトリウムイオンはリチウムイオン電池を単純に置き換えるものではなく、エネルギー貯蔵の可能性を広げる技術だと説明しています。特に、学校、病院、データセンター、都市部の重要インフラ周辺では、安全性や許認可上の懸念から蓄電プロジェクトが遅延または却下されることがあり、不燃性の電池化学がこうした障壁を下げるとしています。市場全体でも、ナトリウムイオン電池への注目は高まっています。CATLとHyperStrongは、3年間で60GWh規模のナトリウムイオン電池供給契約を締結しており、量産体制の確立が進みつつあります。ESS TechとAlsym Energyは、ナトリウムイオン電池と鉄フロー電池を組み合わせることで、電力会社、独立系発電事業者、データセンター、商工業向け顧客に対し、米国製で柔軟性が高く、将来の需要変化にも対応できる蓄電ソリューションを提供できるとしています。
Alsym Energyについて
Alsym Energyは、2015年に設立された米国の電池技術スタートアップです。同社は、不燃性、低毒性、リチウムおよびコバルトを使用しないナトリウムイオン蓄電池を開発しており、安全性、サプライチェーンの強靭性、量産性を重視しています。主な対象市場は、電力会社、独立系発電事業者、データセンター、都市部や産業施設、マイクログリッドです。Na-Seriesは、従来のリチウムイオン電池に代わる実用的な選択肢として、設置場所の制約を減らし、需要地に近い場所での蓄電導入を可能にすることを目指しています。
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