非人間ID（Non-Human Identities：NHIs）管理のAstrix Security、AI時代におけるセキュリティの最前線

企業のIT環境がAIによって大きく変化する中、非人間ID（Non-Human Identities：NHIs）の安全な管理を目的とするプラットフォームを提供するAstrix Securityが注目されています。同社は、APIやOAuthトークンなど、人ではなく機械や自動化されたシステムに紐づくIDを一元管理し、サイバー攻撃やサプライチェーン攻撃を防ぐ世界初のプラットフォームを展開しています。

Astrix Securityの共同創業者兼CEOのAlon Jackson氏は、イスラエル軍のエリート諜報部隊「8200部隊」で8年以上にわたりクラウド関連部門を率いた経歴を持ち、その後、自動車のハッキング技術を研究するArgus社の研究開発責任者としても活躍しました。同じく8200部隊出身のIdan Gour氏と共に、非人間IDのセキュリティ管理に特化した企業を立ち上げました。Jackson氏は、現状の市場にはユーザーアクセス管理のためのツールは数多くあるものの、自動化された接続やAPIキーなどの非人間IDに特化した包括的な管理ツールが存在しないことに気づきました。AI技術の急速な進展に伴い、この分野のニーズが高まると確信し、Astrix Securityを創業したと述べています。

同社にとって特に印象深いのは、2023年のRSA Conferenceでスタートアップのイノベーションを競うRSA Innovation Sandboxのファイナリストに選ばれたことです。Jackson氏は、「業界トップレベルの革新的企業としてステージでプレゼンテーションを行った瞬間は、今でも鮮明に覚えています」と語りました。Astrixの提供するソリューションは、AgodaやPriceline、Netapp、Figmaなどの大手企業に導入されています。非人間IDの包括的な可視化を実現し、不要なアクセスや権限の過剰付与、不正アクセスを自動的に検知・修正できるため、企業のセキュリティリスクを大幅に低減できます。特に、自動化されたワークフローを組織のITサービス管理ツールに統合できる利便性が顧客に高く評価されています。ただし、新たな市場を切り開く過程は容易ではなく、「非人間ID」という用語を業界アナリストと協力して定義するなど、市場教育や啓蒙活動にも多くの労力を費やしました。また、企業のセキュリティ脅威が急速に変化する中で、常に先を見据えた製品開発を行う必要があることも、同社にとって大きな課題であり続けています。

同社の主なマイルストーンとしては、Menlo VenturesやAnthropicのAnthologyファンドなどから総額8,500万ドルの資金調達に成功したこと、Google Cloud Platformのゼロデイ脆弱性「GhostToken」を発見したこと、またOWASPの非人間IDセキュリティTop 10を策定したことなどが挙げられます。今後の目標についてJackson氏は、「AIが組織の日常業務の意思決定を担う割合が大幅に増加すると予測されている中で、非人間IDのセキュリティ管理は企業にとってますます重要になります。Astrixは、この新たな市場でのリーダーシップを維持し、新たに登場するAIエージェントなどのIDリスクへの対策を一層強化していくつもりです」と述べています。

Astrix Securityについて
Astrix Securityは、企業の非人間ID（NHIs）のライフサイクルを管理・保護する世界初のプラットフォームを提供しています。自動化されたシステムやサービスアカウント、APIキーなどの非人間IDを可視化・管理することで、企業のサプライチェーン攻撃やデータ漏洩リスクを防ぎます。Fortune 500企業をはじめ多数の大手企業に採用されており、業界内で高い評価を獲得しています。