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2025/06/09

Startup Portfolio

AIスタートアップのSuperblocks:システムプロンプトの分析で「ユニコーンの種」を発掘

企業向けAIコーディングスタートアップSuperblocksのCEO、Brad Menezes氏は、次のユニコーン(企業価値10億ドル以上の企業)を生み出すアイデアは、既存のAIユニコーンが用いる「システムプロンプト」の中に隠されていると指摘しています。システムプロンプトとは、OpenAIやAnthropicなどのAI基盤モデルをアプリケーション用途に特化させるための長大な指示書(約5,000〜6,000語)です。Menezes氏はこれを「プロンプトエンジニアリングの最高の教材」と呼びます。AI企業ごとに異なる指示を同一モデルに与え、特定領域で必要な機能を正確に引き出しています。

 

Superblocksは最近、企業向けコーディングAIエージェント「Clark」を発表。この際に、人気AIコーディング製品(Windsurf、Manus、Cursor、Lovable、Boltなど)で使用されている19種類のシステムプロンプトを公開しました。この内容はSNS上で話題となり、Founders FundやBrex出身のSam Blond氏や、Superblocks投資家のAaron Levie氏を含む約200万人の注目を集めました。Menezes氏によると、これらのプロンプトを分析することで、新たなビジネスチャンスを見つけることができます。「システムプロンプトそのものが『秘密のソース』の20%を占め、残りの80%はユーザーのプロンプトに対する指示や回答精度の確認といった、モデルへのプロンプト付加(prompt enrichment)とインフラにある」と述べています。また、プロンプト分析には「役割指示(Role prompting)」「文脈指示(Contextual prompting)」「ツール利用(Tool use)」の3つが重要だと説明しました。

 

役割指示は、AIに明確な役割と性格を与えるもので、一貫性を維持させます。たとえばDevinというツールのプロンプトは、「あなたはソフトウェアエンジニアのDevinです。優秀なプログラマーとしてコードの理解、機能的で明確なコード作成、修正の繰り返しに優れています」と具体的です。文脈指示は、モデルに状況を提供し、コスト削減やタスク明確化などの指針を与えます。Cursorは「必要な時のみツールを使い、その名前をユーザーに示さない。求められた場合以外はコードを示さない」などの指示を与えています。ツール利用は、テキスト生成を超えた作業(コード編集、データベースの構築やクエリの実行)をモデルに指示します。たとえばReplitは、プログラム言語の設定やPostgreSQLデータベース操作など非常に具体的です。これらの分析を通してMenezes氏は、他社製品の特徴を理解できたと述べています。「Loveable、V0、Boltなどは迅速な反復開発に特化しているのに対し、Manus、Devin、OpenAI Codex、Replitなどはフルスタックアプリケーション構築に対応しています。しかし、後者の出力はまだ『生のコード』です」と述べています。

 

Menezes氏は、こうした分析を基に、Superblocksではコーディング能力のない人でもセキュリティやSalesforceなどの企業データにアクセス可能なアプリケーション開発ができるよう目指しています。Superblocksは現在、InstacartやPaypaya Globalなどの著名企業を顧客として獲得。自社内でもこの製品を使い、営業チームのリード抽出やサポート指標の追跡など、社内ツールをエンジニアではなくビジネスメンバーが開発しています。「自社内のツールを購入するのではなく、自分たちで構築する方法です」とMenezes氏は説明しました。Superblocksは最近、シリーズAの資金調達ラウンドを6000万ドル(約90億円)に拡張したことを発表しています。

 

Superblocksについて
Superblocksは、企業向けに非エンジニアでも簡単に利用できるAIコーディングプラットフォームを提供するスタートアップ企業です。同社の製品はコードの知識がなくても高度な内部ツールを簡単に作成できることから、多くの企業に採用されています。

 

TagsAIDevOpsUnited States

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