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2025/11/20

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CybersecurityのGuardio、AI時代の「悪意あるコード」検知に挑む

インターネットはいま、新たな懸念を抱えています。vibe-codingツール(AIコーディング/サイト自動生成ツール)と、それらを使って生成されたコードベースやサイト、アプリが爆発的に増える一方で、セキュリティの抜け穴や盲点も同じペースで増大しているからです。こうした環境の中で、サイバーセキュリティスタートアップGuardioは、「AIツールで書かれた悪意あるコードの検知」という新しい市場を狙っています。同社によると、AIツールの登場により、攻撃者はこれまで以上に簡単にフィッシングサイトや詐欺サイト、さらにはそれらを運用するためのインフラを構築できるようになっているといいます。

 

Guardioはもともと、ブラウザ拡張やアプリを通じて悪意あるサイトやフィッシングサイトをスキャン・検知するプロダクトを展開してきましたが、現在はその知見を生かし、vibe-codingツールで生成されたコードやWebサイトの「アーティファクト(痕跡)」を検知するためのツール開発に取り組んでいます。すでに最初の顧客も獲得しています。今月初め、サイト自動生成プラットフォームLovableは、同プラットフォーム上で作成された全サイトをスキャンし、ユーザーに脅威を与える可能性があるものを除外する目的でGuardioとの提携を発表しました。これは、Lovable上で構築された複数のサイトに重大なセキュリティホールがあると指摘するレポートを受けた動きです。

GuardioのCTOであるMichael VainshteinはTechCrunchに対し、「各社がイノベーションと市場シェア獲得の競争を繰り広げる中で、セキュリティは“後回し”にされがちです。コンテンツの安全性や“善用”を担保するために、サイバーセキュリティ企業と連携しているAIツールはまだ多くありません」と語っています。成長の加速と新たな市場開拓のため、同社はION Crossover Partnersがリードするインスティテューショナルラウンドで8,000万ドルを調達しました。既存投資家のUnion Tech Ventures、Vintage Investment Partners、Emergeも参加しています。

2018年にMichael Vainshtein、CEOのAmos Peled、Chief ArchitectのDaniel Sirotaによって創業されたGuardioは、今回のラウンドでのバリュエーションは非公開としつつも、2021年にTiger Globalがリードした4,700万ドルのラウンドから評価額が「3倍になった」と明かしています。同社は一方で、「まだユニコーンだとは考えていない」としています。Guardioは当初、悪意あるサイトの監視やデータ漏えいのアラートを行うブラウザ拡張としてスタートしました。その後、フィッシング対策を追加し、モバイルアプリも展開。現在は、ID管理、スパムフィルタリング、詐欺対策なども提供しています。同社によると、現在50万人の有料ユーザーを抱え、今年は年間経常収益(ARR)が1億ドルに達したといいます。同社はまた、ユーザーが「自分が公開共有しているドキュメントは何か/そこに機微情報が含まれていないか」を把握したり、「多要素認証が有効になっていないアカウント」を特定したりできるようにする可視化機能も新たに提供します。これらの機能は、エンタープライズ向けのData Loss Prevention(DLP)やSaaS Security Posture Management(SSPM)製品をベースにしていると説明しています。

 

Vainshteinは、「私たちはあまりに多くのサービスを使っており、データは多数のサービスに分散し、それぞれ異なるセキュリティ設定に対応しなければなりません。私たちは“あらゆるコンシューマーはそれ自体が一つのエンタープライズだ”と考えています」と語り、「ユーザー自身に“自分のアカウントのセキュリティ担当者”になってほしいわけではありませんが、エンタープライズが持つようなアカウント可視化の能力を、一般ユーザーにも提供したいのです」と続けています。

Guardioは、今後OutlookやFacebookといったサービスにツールを接続し、それらのアカウントに紐づくセキュリティリスクをより詳細に浮き彫りにする機能の開発も進めています。Peledによると、来年にはこれら新しい可視化機能の一部を無料プランにも展開する計画です。今回ラウンドをリードしたION CrossoverのFounder & PartnerであるGilad Shanyは、「当社はサイバーとコンシューマーの両市場に投資してきており、複数のIPOやエグジットを経験してきました。Guardioは、この2つの市場の交差点にある企業へ当社が初めて投資するケースです。最高水準のサイバープロダクトイノベーションをリードできるチームでありながら、コンシューマー向けD2C事業をスケールさせるノウハウも持ち合わせています」とコメントし、Guardioを数年にわたりウォッチしてきたと明かしています。Guardio側が積極的に資金調達を行っていなかったタイミングで、IONの側から対話を持ちかけたとも述べています。

 

Guardioについて
Guardioは、消費者向けのセキュリティ体験に特化したサイバーセキュリティスタートアップです。ブラウザ拡張やモバイルアプリを通じて、悪意あるサイトやフィッシングページ、スパム、詐欺からユーザーを保護し、ID管理やデータ漏えい監視も提供しています。近年は、AIコーディングツールやサイト自動生成プラットフォーム上で作られたコードやWebサイトのセキュリティリスク検知にも領域を広げており、コンシューマーが複雑化するインターネット環境の中で安全にオンライン体験を楽しめるよう支援することをミッションとしています。

 

TagsCyber SecurityIsrael

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