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2025/11/21

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BioTechコンデンセート創薬のDewpoint Therapeutics、胃がん治療薬候補DPTX3186でFDAのFast Track指定を取得

Dewpoint Therapeuticsは、同社のコンデンセート創薬プラットフォームから生まれた経口低分子薬DPTX3186について、米国食品医薬品局(FDA)から胃がん治療を対象としたFast Track指定を取得したと発表しました。DPTX3186は、Wnt/β-catenin経路を標的とする世界初の「condensate modulator(コンデンセート調節薬)」であり、同社にとって初のFast Track指定案件となります。Fast Track指定は、治療選択肢が限られる重篤疾患に対する新規治療法の開発・審査を加速するための制度です。この指定により、DewpointはFDAとのコミュニケーション機会の増加、将来の新薬承認申請(NDA)におけるローリングレビューの適用、規制当局との合意に基づく開発・審査タイムラインの短縮といったメリットを得られます。

 

DewpointのChief Scientific Officer兼Head of R&DであるIsaac Klein医師(MD, PhD)は、「FDAが胃がんの緊急性と、当社のコンデンセートベースのアプローチの可能性を認めてくれたことを光栄に思います」と述べ、「DPTX3186は疾患関連の生物学をまったく新しい方法で制御しようとするもので、治療選択肢が限られた患者さんに意味のあるオプションを提供できる可能性があります。Fast Track指定により、本プログラムをこれまで以上に効率的かつ迅速に進めるための重要な枠組みが整いました」とコメントしています。DPTX3186は、胃がんや他の多くの固形がんの中心的なドライバーであるβ-cateninの腫瘍原性機能を制御するよう設計された低分子薬です。薬剤誘導性のコンデンセートの中にβ-cateninを「隔離」することで、異常なβ-cateninシグナル伝達を低減しつつ、正常な細胞機能は維持することを目指しています。FDAは最近、DPTX3186の治験届(IND)を受理するとともに、同剤に対しオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定も付与しており、現在Dewpointは米国内の主要がんセンターで第1a/2a相臨床試験の開始準備を進めています。

 

DewpointのCEOであるAmeet Nathwani医師は、「Fast Track指定は、コンデンセートモジュレーターが“新たな生物学的視点”から重篤疾患にアプローチできる可能性に対する評価だと受け止めています」と述べ、「規制面での枠組みが整ったことで、DPTX3186の開発をより効率的に進めることが可能となり、高いアンメットニーズを抱える疾患領域において、新規治療薬をより速く患者さんに届けるチャンスが広がります」と語りました。胃がんは世界的に依然としてがん関連死亡の主要な原因の一つであり、有効な分子標的治療が限られている疾患です。Dewpointは、年内にDPTX3186の第1例目の患者投与を開始する見通しだとしています。

 

Dewpoint Therapeuticsについて
Dewpoint Therapeuticsは、バイオマテリアルの相分離現象として知られる「生体分子コンデンセート」の生物学に着目し、新しい世代の創薬パイプラインを構築している臨床段階のバイオテック企業です。多くの疾患がコンデンセートの機能不全によって制御されていたり、逆にその異常が原因となっていることが明らかになりつつある中で、従来「創薬不可能(undruggable)」とされてきた高価値ターゲットに対しても新たな介入機会を提供しています。同社は、AI/MLを活用した最先端の統合プラットフォームを基盤に、オンコロジー、神経変性疾患、心肺疾患、代謝疾患など複数の治療領域にわたる創薬パイプラインを展開中です。Bayer、Novo Nordisk、三菱田辺製薬などとの提携を通じて、コンデンセート生物学の知見を患者に届く治療へと加速することを目指しています。

 

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