HSBC、Mistral AIと戦略提携しグローバル全行での生成AI活用を加速

HSBCは、フロンティアモデル開発で注目されるMistral AIとの戦略的パートナーシップを発表しました。本提携は複数年にわたり、Mistral AIの商用モデルおよび今後の新モデルへのアクセスをHSBCに提供し、行内のさまざまな業務プロセスに生成AIを組み込むことで、業務効率の向上と従業員の時間創出、さらには世界中の数千万の顧客へのサービス改善を目指すものです。HSBCは自社の強力なテクノロジー基盤と、Mistral AIの基盤モデル開発における深い専門性を組み合わせることで、自行クラウド環境上で稼働するセルフホスト型AIモデルを活用し、既存のAIイニシアチブを強化していきます。

今回の提携のもと、HSBCとMistralの応用AI・サイエンス・エンジニアリングチームは協働し、銀行全体で生成AIソリューションの開発を進めます。HSBCは複数の大規模言語モデル（LLM）を評価するテクノロジー戦略を推進しており、その一環としてMistralのモデルを活用し、世界中のHSBC従業員が利用する生産性向上プラットフォームなど、行内ツールの高度化を図ります。具体的には、顧客対応チームによる高速でのパーソナライズドなコミュニケーション作成や、マーケティング部門によるハイパーパーソナライズドなキャンペーン設計、調達部門におけるリスク・コスト削減機会の抽出といった「業務タスクの自動生成・支援」、複雑で文書量の多い融資・金融取引における分析支援、多言語での推論・翻訳を通じた顧客コミュニケーションの質向上、さらには新しいプロセスや機能のプロトタイピングからローンチまでのイノベーションサイクルの短縮など、多岐にわたるユースケースが想定されています。

HSBCはすでにAI技術への投資を通じて業務効率と顧客サービスの高度化に取り組んでおり、今回のMistral AIとの提携はその取り組みを加速するものです。今後の注力分野としては、信用・融資プロセスや顧客オンボーディングの高度化、不正検知やマネーロンダリング対策といった顧客向けイノベーションが挙げられています。両社はAIの責任ある活用に強くコミットしており、透明性・データプライバシー・技術開発における最高水準の基準を満たすよう、ガバナンス体制を共同で整備していく方針です。HSBC Group CEOのGeorges Elhedery氏は、「Mistralとの協業は、HSBCのテクノロジー戦略の重要な前進であり、行全体のAI能力をさらに高めるものです」と述べ、Mistral AIのCo-Founder兼CEOであるArthur Mensch氏も、「エンタープライズグレードで高度にカスタマイズ可能な当社ソリューションを通じて、HSBCのワークフローとサービスを再発明しつつ、データの完全なオーナーシップを保つことができます」とコメントしています。

Mistral AIについて
Mistral AIは、フランス発のAIスタートアップであり、エンタープライズ向けフロンティアモデルとエージェント向け基盤技術の開発をリードしています。軽量かつ高性能な大規模言語モデルやマルチモーダルモデルを提供し、オンプレミスやプライベートクラウドを含む柔軟な導入形態を通じて、企業がデータを自社管理しながら生成AIを活用できるように設計されています。高いカスタマイズ性とオープンなエコシステムを強みとし、金融機関をはじめとする多くの企業と連携して、AIを業務ワークフローに深く組み込むソリューションを展開しています。