Mayu 健康的で持続可能な水を生成する技術を開発するスタートアップ

セス・シーゲルのベストセラー『Let There Be Water』には、渇水が頻発する水不足の国だったイスラエルが、近隣諸国、特に内陸のヨルダンに輸出できるほどの水余りを持つ国へと変貌を遂げた経緯が書かれています。イスラエルの水の奇跡の大部分は、海水から塩分を除去して飲めるようにする海水淡水化です。しかし、海水淡水化には、湧き水や湖水、井戸水に含まれる、人間の栄養補給に不可欠なミネラルがすべて含まれていないという問題があります。

ハデラ近郊のエメク・ヘファーに拠点を置くイスラエルのスタートアップ、MayuのCEOのElad Erdan氏は、次のように語っています。「脱塩水が健康に与える影響について、現地で初めて調査研究が行われたとき、イスラエルでは、飲んでいる水にミネラルがないために、人々が亡くなっていることがわかりました。この研究では、イスラエルのあるHMOのデータを使い、海水淡水化の出現前6年間と出現後6年間の健康状態の変化を比較しました。脳卒中や心臓発作の件数の違いを確認することができました。イスラエルだけの問題ではありません。海水淡水化は世界中で加速しているプロセスです。国際海水淡水化協会によると、世界では現在、3億人以上の人々が海水淡水化プラントから水を得ています。」

Mayuが提案する最もクリーンな例は、既存の水にミネラルを添加することです。同社はすでに、免疫力を高め、ランナーにとって重要な電解質を添加する処方を用意しています。しかし、それはパズルの1ピースに過ぎません。Mayuの浄水器は、水をろ過する浄化、水中の酸素濃度を調整する曝気、そして毎日飲む水にミネラルを微量投与するミネラル化の3つの重要なステップを担っています。「私たちのビジョンは、健康的で持続可能な水を世界中に提供し、誰でも、どこでもアクセスできるようにすることです」と、Erdanは説明します。

同社のウェブサイトやアマゾンで販売されている最初の製品は、一見すると騙されるようなシンプルなものです。見た目は大きなフラスコかピッチャーのようです。しかし、グラスの底には、Mayuの共同設立者であるShay Edenによる手作りの磁器製の台座に取り付けられた金属製のコネクターがあります。スイッチを入れると、フラスコとコネクターが水の中心でミニトルネード（竜巻）を起こす「vortex」を発生させます。このエアレーション作用が、「Mayu Swirl」という製品名の由来となっています。

水の分子構造は、水素が2つ、酸素が1つであることはご存じでしょう。しかし、Erdanによれば、自然の中で水が流れるときには、余分な酸素が入り込みます。もし、エルサレムの自然の泉で水を飲むとしたら、その水には酸素が含まれているのです。Mayuの最高技術責任者で共同設立者のZe'ev Zoharは、水槽の例を教えてくれました。水中に見える気泡は酸素で、魚が呼吸するものです。泡がなければ、魚は死んでしまいます。Erdanは、水がどこから来て、どのように使われるかを考えるよう勧めています。「地球上にあるすべての水は、天地開闢以来ずっと同じものです。ただ、リサイクルされているだけなのです。太陽が海の水を蒸発させ、雲が厚くなり雨が降り始めると、一滴一滴が渦を巻き、酸素を混ぜながら降下します。水の健康にとって重要なのは、エアレーションだけではありません。水が地下を通り、途中で出会った岩や土を通過するとき、さまざまなミネラルを取り込みます」とErdanは言います。「フィジーの水とヨセミテ国立公園の水の味が違うのはそのためです」

逆浸透膜装置は、長い間、浄水器のゴールドスタンダードとされてきました。しかし、逆浸透膜装置は海水淡水化よりもはるかに優れているわけではありません。逆浸透膜装置は、水に含まれる悪いものの95％を除去しますが、良いもの（亜鉛、マグネシウム、ヨウ素、飲みたいミネラル）もすべて除去してしまいます。また、水を大量に浪費してしまいます。Mayu Swirlデバイスに水を注ぎ、希望のミネラルを加えると、パーソナライズされた水を手に入れることができるのです。