Startup Portfolio
フードテックのWildtype、FDA承認取得で世界初の培養サーモンをレストラン提供へ
培養シーフードを手掛けるスタートアップWildtypeは、米国食品医薬品局(FDA)から消費者向けに販売可能な培養サーモンの承認を初めて取得しました。これによりWildtypeは、培養シーフード企業として世界初のFDA承認取得企業となりました。同社の培養サーモンは、オレゴン州ポートランドにあるジェームズ・ビアード賞受賞のハイチ料理レストラン『Kann』で6月中の毎週木曜日に提供され、7月からは毎日提供される予定です。
培養食品分野では、WildtypeはUpside FoodsとGood Meatに次ぐ3社目のFDA承認企業です。これら2社は2023年6月に培養チキンでFDAの承認を得ており、限られたレストランで試験的な提供をしていますが、まだ広く流通するための生産規模には至っていません。また、培養脂肪を手掛けるMission BarnsがFDAに申請中です。培養肉・培養家禽に関してはFDAとUSDA(米国農務省)が共同規制していますが、培養シーフードについてはFDAが単独で管轄しています。
WildtypeがFDAから承認を取得したのは2025年5月28日です。FDAは、Wildtypeが提出した安全性評価を認め、「培養サーモンは従来方法で生産された食品と同様に安全であり、有害物質を含まない」と判断しました。また同局は、培養に使用される細胞がワシントン州の養殖場で採取されたコーホーサーモンの幼魚(稚魚)の細胞であることを確認した上で、今後のマーケティング活動における表示方法に関する注意喚起を行っています。Wildtypeは2022年6月にFDAに初めて申請書類を提出していました。今回の承認を受け、6月のKannでの試験運用後、提供店舗をさらに4つのレストランに拡大する予定です。
Wildtypeについて
Wildtypeは、持続可能な食の未来を目指し、魚の細胞を用いて培養サーモンを製造するフードテック企業です。細胞培養技術により環境負荷を低減しつつ、美味しく安全なシーフードを消費者に提供しています。