Startup Portfolio
AI駆動のファッションプラットフォームのBNTOが、AIスタイリングエージェント「Maya」を発表
BNTOは、今年初めにNotable Capital主導で1,500万ドルのシリーズA資金調達を実施(参加:Basis Set Ventures、NEA、AI Fund)し、今回新たにAIスタイリングエージェント「Maya」を発表しました。ニューヨークとロサンゼルスに拠点を置く従業員約30名の同社は、倉庫ネットワークの拡大も計画しています。
BNTOは、月額98ドルからのサブスクリプションで、会員が6つのスタイルを選んで自分だけの「BNTOボックス」をキュレートできるプラットフォームです。1食分の区画弁当(bento)に着想を得たキューブ型の再利用可能な防水布バッグを採用し、ファストファッション由来の廃棄やクローゼットの圧迫、洗濯の手間を抑えることを目指します。月額利用で多数の着回しが可能なうえ、気に入ったアイテムは最大75%オフで購入できます。PwCの調査ではZ世代の79%がセールを待ち、定価で購入するのは21%にとどまるとされ、Mayaはこうした価格感度の高い消費行動に合わせてダイナミックプライシングの割引提案を行います。スリフト(古着)や大量購入後の返品文化に親しむ層に対し、同社は“手頃さ”と“持続可能性”を両立する選択肢を提供します。
創業者兼CEOのSixuan Li Pasinetti氏は、「ファッションのテックスタックは『売る』前提で組まれてきた一方、供給は硬直的、需要は柔軟という大きなミスマッチがある」と指摘。返品が小売の16.9%(金額で8億9,000万ドル)に達するとの業界推計に触れ、レガシー小売は実質的に“事実上のレンタル”を回しているとし、「柔軟な供給システムを構築すれば、ディスカウントの悪循環と返品で失われている数百億ドル規模の価値を取り戻せる」と語りました。AIバブル観測に対しては「むしろブーム」とし、「技術はまだ幼く驚きと制約が同居する段階。重要なのは実際の課題を解くために使うこと、そしてその過程で独自データとインサイトを生み出せるビジネスモデルかどうかです」と述べています。
BNTOは、従来の“何を買うべきか”の推薦ではなく、“借りる・新品を買う・中古を買う”の最適なアクセス手段と価格帯を助言します。基盤となる独自OS「ALMA.AI」は、PLM(プロダクトライフサイクル管理)、PIM(商品情報管理)、EC基盤、WMS(倉庫管理)までを連結。利用者の消費モード(レンタル/購入)、位置情報と天候、価格弾力性、リアルタイム在庫を踏まえ、最適な商品を、適切な価格で、最も相応しいアクセスモデルで提示します。Notable CapitalのManaging PartnerであるHans Tung氏は、「小売におけるAIの可能性は推薦精度の向上にとどまらない。BNTOは消費者の“何を着るか・どうアクセスするか”を個別化するAIと、レンタル・小売・リセールをスケールで運用するサプライチェーンAIという二つの中核を構築している。これは“オムニ消費(omni-consumption)”という新しい消費モデルだ」と評価しています。
BNTOについて
BNTOは、レンタル/新品購入/中古購入を横断するAI駆動のファッションプラットフォームです。月額制の「BNTOボックス」と独自OS「ALMA.AI」を通じ、PLM・PIM・EC・WMSを一体化。ユーザーの消費モード、ロケーションや天候、価格弾力性、ライブ在庫に基づく提案で、最適なアイテムを最適なアクセス手段・価格で提供し、廃棄削減とクローゼット最適化を両立します。拠点はニューヨークとロサンゼルス。
関連ニュース
BNTO に興味がありますか?
最新ニュース
メキシコ発でラテンアメリカでAIを活用した放射線診断用オペレーティングシステムを提供する"Eden"がSeries Aで$22Mを調達
2025/10/16
自己免疫疾患向けの全人的ケアに特化した"WellTheory"がSeries Aで$14Mを調達
2025/10/16
AIエージェントセキュリティのAstrix、MCPサーバの認証情報リスクを多数で確認 長期APIキー依存に警鐘、オープンソース対策ツールを公開
2025/10/16
Supply ChainのArkestro、予測型プロキュアメントでサプライヤーサイクル短縮とコスト変動リスク低減を加速
2025/10/16
大規模言語モデルのAnthropicとSalesforceが、規制産業向けの「信頼できるAI」を共同展開
2025/10/16