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2025/11/20

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Creator EconomyのBeehiiv、ニュースレターを超えて「クリエイターOS」へ サイト構築・デジタル販売・分析まで一体提供

ニュースレターホスティングからスタートしたBeehiivが、新機能の大幅アップデートにより、「ニュースレター専用」からクリエイター向けのオールインワン・ビジネスプラットフォームへと大きく舵を切っています。最新アップデートでは、フル機能のウェブサイト構築、デジタルプロダクトの販売、ポッドキャストやYouTubeフィードの統合、高度なオーディエンス分析までを1つのプラットフォーム上で提供し、クリエイターのビジネス運営を包括的に支援する構想を打ち出しました。これらのビジネスツールは11月13日に発表され、Digidayが取材した4人のクリエイターはいずれも、ニュースレター市場が飽和しつつあるなかで「Beehiivがメール以外に多角化するためのタイミングとしてちょうど良い」と評価しています。ニュースレター「Garbage Day」をBeehiivで配信しているジャーナリストのRyan Broderickは、「いま、彼らはビジネスオーナーが欲しがる機能をどんどん追加している」と話します。スポーツライターのJoe Posnanskiも、ニュースレターというフォーマットが「少しマンネリ化している」と感じており、ニュースレターにとどまらないビジネス展開の必要性を指摘しています。

 

次のクリエイターエコノミーの章では、SNSのフォロワー数やメールリストの規模だけでなく、「クリエイターが一つのビジネスとして成立するかどうか」が問われています。しかし、マーケティング予算の多くは一部のトップインフルエンサーに集中しており、小規模クリエイターが成長するのはますます難しくなっています。Posnanskiは「クリエイターは今や、単なるメーリングリストではなく“ビジネス”を構築しなければならない」と語ります。Beehiivは今回のアップデートで、そうした課題に対応できる「クリエイターブランド向けオペレーティングシステム」に一歩近づいた格好です。

スタートアップニュースレター「Unicorner」の共同創業者Ethan Keshishianは、Beehiivの新機能について「進化し続けるエコシステムに追いつくためのツールを、クリエイターに提供してくれているように見える」と評価します。Unicornerは2023年にBrevoからBeehiivへ移行し、現在は約10万人にリーチする6桁売上(ドル建て)の事業になっているといいます。共同創業者のArek Der-Sarkissianも、「今回の多くのアップデートは、ニュースレターを軸にしつつも、複数チャネルをレバレッジできるようにすることにフォーカスしている」と述べています。

これまでBeehiivのクリエイターは、外部のウェブホスティング、デジタル商品のEC、アクセス解析ツールなどを組み合わせて使う必要があり、その分コストも手間もかかっていました。Beehiivは昨年、AIウェブサイトビルダー「Typedream」を買収し、今年7月に自社版のサイトビルダーをローンチしましたが、今回のアップデートにより、AIとのチャットベースでサイトを自動生成し、その後ドラッグ&ドロップでデザインを微調整できるようになりました。ポッドキャスト専用のホームページやYouTubeフィード用ページも簡単に作成できます。

 

CEOのTyler Denkは、これによりクリエイターが「テックスタックを簡素化し、契約するプラットフォーム数を減らせる」と説明しています。今回、クリエイターが最も期待を寄せているのは改善されたウェブサイト分析機能で、今四半期にβ版がリリースされ、来年にはフルローンチの予定です。SubstackからBeehiivに移行したBroderickは、「Substackの分析は少し曖昧で扱いづらかった」と述べ、「Beehiivの分析ダッシュボードでは、読者がどこから来ているのか、何をきっかけにもっと読みたい・もっと支払いたいと思っているのかが見える」と話します。Denkによると、Beehiiv上ではウェブトラフィックの流入元に加え、デバイス種別、ブラウザ、滞在時間なども把握でき、メールの分析データと組み合わせることで、有料購読を提案すべき読者、最もエンゲージメントの高い読者、クリックされているコンテンツなどを特定しやすくなります。さらに、他プラットフォームからの過去のウェブデータを取り込むためのツールも開発中です。

Beehiivは、こうした新機能に対して追加料金を課しておらず、コンサルティングやグッズ、有料サブスクリプションなど、クリエイターのデジタル商品売上に対しても手数料を取らない方針です。Keshishianは、これはSubstackなど競合プラットフォームからの移行を促すインセンティブだと見ています(Beehiivの料金プランは、ニュースレター購読者1,000人までで年間約500ドルから)。Broderickも、「多くのクリエイタープラットフォームは売上の10%を持っていく。Beehiivは固定のサブスクリプションなので、クリエイターとしてのスタートアップを維持するために、毎年数万ドルを手数料で失わずに済む」と歓迎しています。

Keshishianは、Beehiiv上で自前のグッズ販売が可能になったことで、「前からやりたかったマーチ販売に取り組むチャンスかもしれない」とDer-Sarkissianと議論を始めていると話します。また、Beehiivは広告プラットフォームも刷新し、毎週クリエイターにニュースレター広告オファーをメール配信する仕組みに変更します。クリエイターは個別案件を受諾・辞退でき、Beehiivはその広告収益の20%を手数料として得るモデルです。Denkによると、現在Beehiivの広告ネットワークと有料購読を合わせたクリエイターの収益は、月あたり2.5〜3百万ドル規模に達しているといいます。Der-Sarkissianは、「これでスポンサーとの関係構築をBeehiivと一緒に行えるようになり、自分たちだけで営業メールを送ったり、繋がりを築いたりする負担が減ります。既存インフラのアップグレードには本当に期待しています」と語ります。もっとも、最終的には「これらのツールがどれだけうまく機能するかにかかっている」とPosnanskiは冷静に見ています。ShopifyからSubstackまで各社が「クリエイターのテックスタック」を囲い込もうとする中で、Beehiivの拡張は戦略上の必然であると同時に、「本当にクリエイターがツールを一元化したいのか」を試す実験でもあります。Posnanski自身も「今はShopify、Gumroad、Kajabi、Printful、Google Analyticsなど色々使っています。シンプルにできる価値は確かにありますが、結局は実装次第です」と話しています。

 

Beehiivについて
Beehiivは、ニュースレターを軸にしたクリエイター向けプラットフォームとしてスタートし、現在はウェブサイト構築、オーディエンス分析、広告ネットワーク、デジタルプロダクト販売などを統合した「クリエイターブランド向けオペレーティングシステム」を志向するスタートアップです。AI搭載のサイトビルダーや豊富な分析機能、固定料金のサブスクリプションモデルを特徴とし、小規模クリエイターから6桁〜7桁規模のビジネスを運営するニュースレターまで、幅広いユーザーのマネタイズとブランド構築を支援しています。

 

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