Data InfraのClickHouse、Microsoft OneLake連携を強化　Fabric環境でのシームレスなデータ相互運用を実現

ClickHouse Inc.は、リアルタイム分析向けカラムナデータベース「ClickHouse」と、Microsoft Fabricの統合データレイクであるMicrosoft OneLakeとの新たな連携機能を発表しました。これにより、OneLakeが持つスケール・ガバナンス・シンプルさと、ClickHouseの高速性・柔軟性を組み合わせ、リアルタイムかつ大規模な分析ワークロードを一貫した基盤上で扱えるようになります。今回の発表は、ClickHouse CloudのMicrosoft Azure上での一般提供開始や、Azure Blob Storage上でのパフォーマンス強化、その他新機能の追加に続くもので、Microsoftとの協業を次のフェーズへ進めるマイルストーンとなります。AzureからFabricまでを含むMicrosoftのデータエコシステム全体に対して、ClickHouseが「リアルタイム分析エンジン」として深く相互運用することを目指す取り組みです。

近年、多くの組織は「レイクハウスアーキテクチャ」を採用し、データを統合しつつ、用途に応じて最適なツールを選べる柔軟な基盤を構築しています。Apache IcebergやDelta Lakeといったオープンなテーブルフォーマットでデータを保存することで、ClickHouseを含む複数のエンジンから同じデータにアクセスできるようにし、リアルタイム分析からGenAI／AIエージェント向けの高度なユースケースまでカバーする狙いがあります。今回のOneLake連携では、OneLakeのTable APIを通じてIcebergテーブルをClickHouseに公開できるようになりました。これにより、ユーザーはOneLake上のデータをClickHouseから直接クエリし、ClickHouseとFabricの両方をまたいだフェデレーション分析や統合分析を実現できます。多くのデータベースに共通する課題は、「どうデータをシステム内に取り込むか」というインジェスト部分の複雑さです。この新しい統合により、FabricのユーザーはOneLakeに統合された重要データに対して、ClickHouseから低レイテンシ・高並列なクエリを実行できるようになり、リアルタイム分析、オペレーショナルダッシュボード、エージェント向け分析といったワークロードを容易に構築できるようになります。

ClickHouseのCo-Founder兼CTOであるAlexey Milovidovは、「Microsoft OneLakeは当社のユーザーの間でも非常に人気のあるデータレイクです。データ移動と分析をシンプルにするためにも、OneLakeとのダイレクトな統合を長い間実現したいと考えてきました。OneLakeにTable APIが導入されたことで、ついにそれが可能になりました。ClickHouseはOneLakeに保存されたデータをネイティブにクエリできるようになり、ユーザーは摩擦なくOneLake上のすべてのデータにアクセスできます」と述べています。

Microsoft OneLakeおよびFabric EcosystemのVP & GMであるDipti Borkarは、「データが価値を持つためには、お客様が日々使用しているさまざまなツールと相互運用できなければなりません」と語り、「Microsoft OneLakeによって統合されたデータに対してClickHouseを活用することで、リアルタイムオブザーバビリティ、サイバーセキュリティや不正検知、AIといった、最もデータ集約型のユースケースを支えることができます」とコメントしています。この統合により、Microsoft Fabricを利用する企業は、OneLakeに統合されたデータに対してClickHouseを用いた高スループット・低レイテンシの分析を行えるようになり、エンタープライズ全体でのデータ活用とAI時代のリアルタイム意思決定に向けた土台が一段と強化されます。

ClickHouseについて
ClickHouseは、リアルタイムデータ処理と大規模分析のために設計された、高速なオープンソース列指向データベース管理システムです。ClickHouse Cloudは、膨大なデータに対して極めて高速なクエリと高い同時実行性を提供し、即時性が求められるアプリケーションに最適な基盤を提供します。AIエージェントがソフトウェアに深く組み込まれ、より頻繁で複雑なクエリを発行するようになるなかで、ClickHouseは高スループット・低レイテンシのエンジンとして、こうした新しい負荷に対応できるよう設計されています。Sony、Tesla、Anthropic、Memorial Sloan Kettering、Lyft、Instacartなどのリーディングカンパニーに採用されており、スケーラブルで効率的なモダンデータプラットフォームを通じて、チームがインサイトを引き出し、よりスマートな意思決定を行えるよう支援しています。