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2025/07/25

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OpenBankingのMono、ナイジェリア発でアフリカの金融インフラを変革へ

Paystackを離れ、2020年にMonoを創業したAbdulhamid Hassan氏は、パンデミック時代の混乱の中で、単なる新興スタートアップを生んだのではなく、アフリカにおける金融インフラの未来を先取りする大胆な賭けに出ました。当時、ナイジェリアで「オープンバンキング」はまだ一般的な概念ではありませんでしたが、Hassan氏は「決済」だけでなく「データ」こそが次世代FinTechの中核になると見抜いていました。創業から5年、Monoはすでに累計1500億ナイラ以上の取引を処理し、700万人以上のユーザーにサービスを提供、事業はケニアやガーナにも拡大しています。とはいえ、Hassan氏にとって重要なのは単なるスケールではなく、持続可能な成長です。

 

2024年8月にナイジェリア中央銀行(CBN)がオープンバンキング制度を正式導入することを受け、Monoはすでにその実現を先取りして動いています。Hassan氏によると、Monoはユーザーの明示的な同意に基づいて銀行データを共有する仕組みを採用しており、銀行側もこのアプローチに協力的だといいます。新制度が始まることで、銀行やデータプロバイダーが収益を得られるスキームが整い、健全なエコシステムが構築されることを期待しています。また、CBNの導入により、ライセンスを持たない事業者による不正なデータアクセスを防ぐための規制強化も見込まれており、国家インフラであるNIBSSによるレジストリ制度が大きな役割を果たすと見られています。

 

Monoが最近発表した「Owo API」により、同社がオープンバンキングから“ピボットした”のではないかとの指摘に対して、Hassan氏はこれを否定。「むしろ、既存のAPI技術を活かして新たなコンシューマー向け体験を構築しているフェーズだ」と説明しました。例えば、WhatsAppで送金ができるようにするなど、ユーザーが日常的に使うチャネルに金融機能を埋め込むアプローチを進めており、その裏にはMonoのAPIが活用されています。競合であるOkraが撤退し、南アフリカのStitchもナイジェリア市場から撤退する中で、Monoが生き残っている理由について、Hassan氏は資金力ではなく「プロダクトの完成度と顧客密着の姿勢」にあると強調します。実際、MonoとOkraは同額の1,600万ドルを調達していますが、Monoのほうが提供APIの範囲も市場展開も広いといいます。さらに、ナイジェリア以外にもケニアやガーナで事業展開を進めていますが、それは既存顧客からの要請に基づくもので、単なる拡大志向ではありません。「市場にニーズがないままの拡大こそが企業を危うくする」と語る姿勢からも、戦略的な展開がうかがえます。

 

現在、Monoは40人規模のチームで、インドやイギリスを含む複数国に分散した体制を持ちつつ、週1回はオフィス勤務を行うハイブリッドワークを採用しています。最近では月間売上が給与コストを上回るなど、収益面でも持続可能性が見えてきています。Hassan氏は、「オープンバンキングこそが、アフリカのカード決済市場を超える最も大きなチャンスだ」と断言しています。データ、決済、本人確認という3つの柱を統合することで、安全かつ迅速なオンライン取引の実現が可能になるからです。今後は保険や住宅ローンなど、非金融データとの統合も見据えており、Monoはまさにこの変革の中心に立とうとしています。

 

Monoについて
Monoは、ナイジェリア発のオープンバンキングプラットフォームで、ユーザーの同意に基づいた金融データ共有APIを提供するフィンテック企業です。企業はMonoのAPIを通じて、ユーザーの銀行口座情報、取引履歴、本人確認情報などにアクセスし、与信判断や本人確認、決済統合などを実現できます。現在はナイジェリア、ケニア、ガーナで事業を展開し、数百社の企業顧客にサービスを提供しています。今後は非金融データとの統合を視野に、より包括的な金融インフラの構築を目指しています。

 

TagsFinTech

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