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次世代データOSのVast Data、新機能「SyncEngine」でAIエージェントによる非構造化データ活用を加速
データストレージ企業のVast Dataは、AI時代の「オペレーティングシステム」へと進化する取り組みの一環として、新機能「Vast SyncEngine」を発表しました。SyncEngineは「ユニバーサルデータルーター」として機能し、非構造化データの高速オンボーディングとグローバルカタログを統合し、AIデータパイプラインを容易に構築できるようにします。この新機能は既存顧客に追加費用なしで提供され、分散されたファイルやSaaS環境に眠るデータを迅速にAIアプリケーションへ接続することを可能にします。
Vast AI OSは、同社独自の「Disaggregated and Shared-Everything(DASE)」アーキテクチャを基盤に、クラウド、オンプレミス、エッジを横断する統合データレイヤーを提供してきました。これにより、ほぼ無制限のデータ保存と高速アクセスが実現され、ベクトル検索やサーバーレス機能なども組み込み、エージェント型AIワークフロー全体を支えることができます。SyncEngineは、この基盤上でAIのボトルネックとされるデータパイプライン課題を解消するために開発されました。
従来、データは古いファイルシステムやSaaSに分断され、AIモデルが利用できない「ラストマイル問題」を引き起こしていました。SyncEngineは、カタログ化・移行・変換を一体化した機能により、データを即座に検索可能な状態にし、Google DriveやSalesforceなどのエンタープライズアプリからも横断的にデータを取り込むことができます。これにより、膨大な非構造化データを記録的な速度で処理し、AIワークロードに最適化できるとしています。
アナリストのMichael Ni氏は「SyncEngineはAIにおける最大の見落とされがちな障壁を解消し、データパイプラインの速度だけでなくAIスタック全体の経済性を再定義する」と評価しています。一方で、NAND ResearchのSteve McDowell氏は「Vastのアプローチは強力だが、プラットフォーム全体への依存度が高まり柔軟性が制限される」と指摘しました。Vastの共同創業者Jeff Denworth氏は「AI競争の勝者は、容易にアクセスできる情報だけでなく、すべてのデータを活用できる企業になる」と語り、データサイロを打破するSyncEngineの重要性を強調しました。
Vast Dataについて
Vast Dataは、AIデータセンター向けの次世代インフラを提供するスタートアップで、独自のDASEアーキテクチャを基盤にしたVast AI OSを展開しています。ストレージ、コンピュート、メッセージング、推論を統合し、AIエージェントがリアルタイムデータを活用し大規模なワークフローを自動化できるよう支援します。高速性、スケーラビリティ、シンプルさを兼ね備えたプラットフォームにより、電気的接続から光学的接続への移行を牽引し、AI時代の基盤技術として注目されています。