1. Home
  2. News
  3. ビジネスアイデンティティデータのEnigma、Google Cloud Marketplace上に「KYBコンプライアンス・エージェント」をリリース
2026/05/13

Startup Portfolio

ビジネスアイデンティティデータのEnigma、Google Cloud Marketplace上に「KYBコンプライアンス・エージェント」をリリース

米国企業のビジネスアイデンティティに関する信頼できるデータソースとして知られるEnigma Technologiesは、2026年5月12日、Google Cloud Marketplace上で「KYB(Know Your Business)コンプライアンス・エージェント」を提供開始したと発表しました。本エージェントは、コンプライアンスチームがチャット形式の対話を通じて、米国企業を同社の「アイデンティティグラフ」に照合し検証できるツールで、政府登記簿、商業データベース、制裁リストといった分断されたソースを単一の検証済みレコードへと束ねるEnigmaのデータ基盤が、AIエージェント時代におけるKYB業務の根幹を支える設計となっています。

 

KYBの現場では、コンプライアンスアナリストが企業名検索、州レベルの登記参照、制裁リスト照合、住所確認、表記揺れを伴う法人エンティティのマッチングなどを手作業で行い、1件あたり数時間を要することも珍しくありません。エージェント型ワークフローはこれを高速化し得る一方で、エージェントの精度は前提となるデータの精度を超えません。同一企業が複数の管轄、複数の名称・住所・法人形態で記録されている状況で、もし下にあるデータが古かったり、断片化していたり、未検証だったりすれば、エージェントは「データが怪しい」と立ち止まることなく、そのまま同じ自信で処理を続けてしまいます。スケール時にはこれが、データ品質の問題からシステミックリスクへと姿を変えます。EnigmaのアイデンティティグラフはこれをデータレイヤーからGood-First-Pass化する設計で、米国の全管轄を横断して1億超の法人エンティティ、3,000万のブランド、3,000万の事業所所在地を解決された検証済みレコードとして提供します。実際、法人カードプロバイダーであるRampが自社の既存KYBスタックとEnigmaのアイデンティティデータを比較検証した結果、初回照合で94%の企業がマッチし、従来は手作業レビューが必要だった承認の63%が自動化されています。

 

技術構成も注目されます。コンプライアンスアナリストが企業名と住所を入力すると、エージェントがGoogleのGeminiモデルを介してEnigmaのKYB APIにオーケストレーションを行い、アイデンティティグラフへの照合を実行します。組織側で設定可能なコンプライアンスポリシー(名称検証、住所検証、州登録、ウォッチリストスクリーニング、TIN(納税者番号)検証など)を適用し、各チェックの根拠を伴う「総合判定(verdict)」をチェック単位の推論結果とともに返す構造です。Enigma SVP of Data Strategy and PartnershipsのJohn Yarimkayaは「トレーニングと『真実』の間には差がある。エンタープライズのリスクおよびプロスペクティング業務において、信頼できるエージェントは検証済みのエンティティデータに依存しており、Google Cloudの上でそれをアウト・オブ・ザ・ボックスで提供することで、ミッションクリティカルなワークフローを即座にAIでアップグレードできる」とコメントしています。Google CloudのMarketplace & ISV GTM Programs担当マネージングディレクターであるDai Vuも、「EnigmaをGoogle Cloud Marketplaceに迎えることで、顧客はGoogle Cloudの信頼性ある世界規模のインフラ上でKYBコンプライアンス・エージェントを迅速に導入、運用、拡張できる」と述べています。エージェントはオープンソースのAgent Development Kit(ADK)で構築され、Gemini Enterprise Agent Platform Runtime上にデプロイされ、Gemini 2.5 Flashモデルシリーズ、Cloud Run、Cloud Storageを利用しており、顧客側で追加のインフラを準備する必要はありません。

 

Enigmaについて
Enigma Technologiesは、2011年にHicham OudghiriとMarc DaCostaによって設立された、米国・ニューヨーク市を拠点とするデータサイエンス・AI企業です。両共同創業者はコロンビア大学で出会い、2008年の金融危機をきっかけに「公開データが大規模な経済事象の理解に十分活用されていない」という問題意識から起業し、2013年のTechCrunch Disruptで開催されたStartup Battlefieldで優勝しデビューしました。CEOのHicham Oudghiriは、コロンビア大学で哲学と数学を学び、世界銀行グループと連携した北アフリカでのサステナブルファイナンスプログラムの運営経験を持ち、共同創業者でChairmanのMarc DaCostaはクリエイティブテクノロジスト/人類学者という異色のバックグラウンドを持ちます。現在のEnigmaは、米国企業のアイデンティティ、活動、リスクプロファイルに関する高精度なデータを提供する企業向けデータ基盤として、KYB/スクリーニング/AMLコンプライアンス、加盟店ペイメントリスク、Go-to-Marketのアカウントベース・データエンリッチメントなどを支えており、APIとAIエージェントの両形態で顧客に提供しています。American Express、Truist、PayPal、Ramp、Wisetack、Merckなどがユーザーとして名を連ね、これまでに累計約1億3,000万ドルを調達しており、New Enterprise Associates(NEA)、TriplePoint Capital、Crosslink Capital、Comcast Venturesなどが投資家として支援しています。

 

TagsAIUnited StatesBig Data

関連ニュース

Contact

AT PARTNERSにご相談ください