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2026/05/22

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医療AIのAbridge、新CTOにNotion/Slackでハイパーグロース期の組織を築いたSan Oo氏を起用

ヘルスケア領域における生成AIのリーダーであるAbridgeは、新たな最高技術責任者(CTO)としてSan Oo氏を任命したと発表しました。Oo氏は、これまでAbridgeのテクノロジー基盤を支えてきたエンジニアリング、AIリサーチ、プロダクトチームを率いる立場として、同社が270を超える米国内のヘルスシステムへ展開を広げる中での「変曲点(インフレクションポイント)」を牽引する役割を担います。Oo氏は前職のNotionでエンジニアリングのゴールと方向性を設定する立場にあり、それ以前にはSlackでハイパーグロース期のエンジニアリング組織の構築に深く関与した経歴を持ちます。本人は、「キャリアを通じて、人々が使うのを楽しみ、かつセキュアで信頼できるプロダクトとプラットフォームを築いてきた。今度はヘルスケアで同じことをやりたい。ここではかかっているものが、さらに大きい」と述べています。

 

今回の起用は、急成長期のSaaS/プロダクト企業をスケールさせた経験をAI×ヘルスケアの最前線に持ち込むという、Abridgeの明確なシグナルでもあります。Abridgeのテクノロジーは、AIスクライブ(医療文書化)にとどまらず、臨床意思決定支援(Clinical Decision Support)、収益サイクル(Revenue Cycle Management)に関わるドキュメンテーション支援など、臨床ワークフロー全体に広がっており、現在はSutter Health、Duke Health、Yale New Haven Healthをはじめとする270超の医療システムで本番稼働しています。2025年だけで5,000万件超の医療会話をプラットフォーム上で処理した実績を持ち、規模の経済を活かしたデータフライホイールが次世代のアンビエント体験開発を牽引している状況です。前任のCTOであるZachary Lipton氏は、Abridgeの共同創業者として技術と研究の根幹を築いた人物で、今後はCarnegie Mellon Universityでテニュア(終身在職権)を取得したことを機に、Abridgeのサイエンス・アドバイザリーロールへと移行することが明らかにされています。

 

技術的観点で見ると、Abridgeは音声認識、生成モデル、ガードレール、評価機構というAIパイプラインの全コンポーネントを内製で磨き込んでいることに特徴があります。具体的には、医療用語領域における音声認識エラーを24%低減し、ガードレールはハルシネーションの97%を臨床医に届く前に解消するレベルに到達しています。ハイパーグロース期のSlackやNotionで分散型エンジニアリング組織のスケールと「使われるプロダクト」の両立を経験してきたOo氏のリーダーシップは、Abridgeがエンタープライズ規模の医療システムに対し、信頼性、セキュリティ、拡張性を兼ね備えたAIプラットフォームを提供し続けるうえで重要な意味を持つと見られます。Abridgeは今後、診療前の準備支援、診療中の臨床意思決定支援、診療後の文書化、コーディング、収益サイクルへの統合といった「クリニシャンの全ジャーニー」をサポートしていく方針を打ち出しており、今回のCTO人事はそのロードマップを実装に落とし込むエンジニアリングサイドの中核ピースとなります。

 

Abridgeについて
Abridgeは、2018年にcardiologist(循環器内科医)のShiv Rao氏(CEO兼共同創業者)を中心に、Zachary Lipton氏(共同創業者、現サイエンスアドバイザー)、Florian Metze氏らによって設立された、生成AIによるヘルスケアプラットフォームのスタートアップで、本社を米国・ペンシルベニア州ピッツバーグおよびカリフォルニア州サンフランシスコに置いています。CEOのShiv Raoは現役のcardiologistとしてUniversity of Pittsburgh Medical Center(UPMC)で診療を続けるとともに、UPMC Enterprisesでヘルステックスタートアップ投資およびAIプログラム支援に携わってきた経歴を持ち、医療現場とテクノロジーの双方の視座を兼ね備えた創業者として知られています。Abridgeのプロダクトは、診察室で臨床医と患者の会話をアンビエントAIが聴き取り、構造化された臨床ノートおよび請求コードへと変換することで、文書化負担と医師バーンアウトを大幅に低減する設計で、55を超える専門領域、28言語をサポートし、Epic Systemsをはじめとする主要EHR(電子カルテ)と直接統合されています。資金調達面では、2025年6月にAndreessen Horowitzがリード、Khosla Venturesが参加した3億ドルのシリーズEを評価額53億ドルでクローズし、わずか4カ月前の評価額27.5億ドル(2025年2月、2.5億ドルのシリーズD)から2倍弱の評価額上昇を実現しました。累計調達額は7億5,750万ドル規模に達し、Union Square Ventures、Bessemer Venture Partners、Pillar VC、KdT Ventures、CVS Health Ventures、Lightspeed Venture Partnersなど多数のVCおよびストラテジック投資家から支援を受けています。

 

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