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次世代カウンタードローンのD-Fend Solutions、Motorola Solutionsが15億ドルで買収
無線周波数(RF)を用いた「サイバー・テイクオーバー型」カウンタードローン技術のグローバルリーダーであるイスラエル発のスタートアップD-Fend Solutionsは、米国の公共安全・通信ソリューション大手Motorola Solutionsによって15億ドル(約2,250億円)で買収されることに合意したと発表しました。買収は2026年第4四半期にクローズする見通しで、各国政府や重要インフラ運用者が「ローグドローン(不正な民生/改造ドローン)」の脅威への防御を急ぐ中、商業ベースでの大型ディフェンステック案件として注目を集めています。
買収の背景には、ドローン脅威環境の急激な変化があります。米国・イスラエルとイランの紛争中に発生したデータセンターなどの重要インフラへのドローン攻撃、ヨーロッパ各地で相次いだ空港の閉鎖事案などは、「単に検知するだけでは不十分であり、通信を無差別にジャミングすることも実弾で撃墜することもなく、ドローンを安全に無力化できるシステム」のニーズを世界的に押し上げました。米国では昨年、認定された州・地方警察官が無許可ドローンを能動的に乗っ取り、安全に着陸させることを認める「Safer Skies Act」が成立しており、D-Fendのような「ドローン乗っ取り」型ツール向けの新しいエンドユーザー市場が形成されつつあります。D-Fendのフラッグシップ製品「EnforceAir」は、ジャミングや物理的破壊を伴わずに飛行中のドローンの通信プロトコルを解析し、遠隔から制御を奪い、あらかじめ指定した地点に安全着陸させる能力を備え、NATO加盟国を含む30カ国超で運用され、米国国土安全保障省(DHS)、国防総省(DoD)、司法省(DoJ)といった高度な要件を持つ顧客にも採用されています。Motorola SolutionsのCEO兼会長であるGreg Brown氏は、「ローグドローンは、我々の空を予測不可能なリスクの広がる空間へと変えてしまいました。もはや単純な検知では十分ではありません」とコメントし、本買収を「単なる検知から能動的なドローン制御へ」という空域セキュリティの新時代に対応する戦略的一手と位置付けています。
本件はMotorola Solutionsにとって、ドローン関連分野での2件目の大型M&Aとなります。同社は昨年、ドローン向けセキュア通信・ネットワーク技術を手掛けるSilvusを44億ドルで買収しており、今回のD-Fend買収によって「ドローン側(Silvus)」と「アンチドローン側(D-Fend)」の双方の能力をワンストップで提供できる垂直統合型の空域セキュリティポートフォリオが完成する形となります。D-Fendの足元の業績も力強く、過去3年間で年率50%超の売上成長を継続しており、Motorolaの開示によると2026年通期売上は1.85億ドルに達する見込みです。アンチドローン市場全体は、Mordor Intelligenceの予測によれば2026年の24.7億ドルから2031年には84.2億ドル規模へと拡大する見通しで、Motorolaは買収を通じてこの高成長市場の中核プレイヤーとしてのポジションを確立することを狙います。一方、D-Fend側ではVertex VenturesおよびVertex Growthが約17%の保有株を約2.55億ドルで現金化し、当初の600万ドルの投資から大幅なリターンを得ることになり、2024年ラウンドを主導したIsrael Growth Partners(IGP)も約6倍のリターンを実現する見通しです。3名の共同創業者は合計で約25%を保有しており、それぞれ税引前で約1.25億ドルを受け取る見込みと報じられています。
D-Fend Solutionsについて
D-Fend Solutionsは、2016年にイスラエルのRa'ananaで、Zohar Halachmi氏(共同創業者・会長兼CEO)、Assaf Monsa氏(共同創業者・CTO兼バイスプレジデント)、Yaniv Benbenisti氏(共同創業者・社長兼CPO)の3名によって設立された、カウンタードローン技術を提供するディフェンステック・スタートアップです。米国市場向けにバージニア州McLeanにも拠点を構え、買収発表時点で約180名の従業員を擁しています。同社の中核技術であるEnforceAirは、業界では「サイバー・テイクオーバー(cyber takeover)」と呼ばれる非破壊・非妨害型のRF技術カテゴリーを切り拓いた存在で、Booz Allen Hamiltonによって非運動エネルギー型カウンターUAS(counter-UAS)領域における最重要新興技術の1つに位置付けられています。EnforceAirはポータブル型、車載型、固定設置型の各構成を備え、軍事区域、空港、重要インフラ、刑務所、公共イベント警備、国境警備などの用途で、米国軍、連邦法執行機関、国土安全保障、主要国際空港など世界30カ国以上で運用されています。アドバイザリーボードには米国連邦航空局(FAA)と米国軍の元高官が参画し、特に北米市場における信頼性を高めてきました。資金調達面では、Vertex Venturesによる初期600万ドルのシード投資(リードはYoram Oron氏)から始まり、Claridge IsraelとVertexによる2,800万ドル、2024年12月にはIsrael Growth Partners(IGP)が主導しVertex VenturesおよびVertex Growthが追加参加した3,100万ドルのラウンドなど、買収前までに累計約6,700万ドルを調達していました。今回のMotorola Solutionsによる15億ドルでの買収は、約22倍に相当するエグジット規模となり、イスラエル発ディフェンステック領域における2026年を代表するM&A事例の一つとして、世界の空域セキュリティ業界の構造を大きく塗り替える取引と位置付けられます。
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