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2025/12/09

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BioTechのAbcuro、T-LGLL患者を対象としたulviprubartの第1/2相試験中間結果をASH年次総会で発表

Abcuro, Inc.は、難治性・進行性の希少自己免疫疾患などで病因となる細胞傷害性T細胞を標的とする免疫療法を開発する臨床後期バイオテクノロジー企業として、ulviprubart(ABC008)の第1/2相臨床試験の中間解析結果を、第67回米国血液学会(ASH)年次総会(2025年12月6〜9日、フロリダ州オーランド)で口頭発表したと明らかにしました。本試験は、貧血および/または好中球減少を有するT細胞性大型顆粒リンパ球性白血病(T-LGLL)患者を対象に、ulviprubartの安全性、忍容性、初期有効性およびPK/PDプロファイルを評価するオープンラベル用量漸増試験です。

 

Ulviprubartは、KLRG1を標的とする初の作用機序を持つヒト化モノクローナル抗体で、高度に分化した病原性T細胞のみを選択的に枯渇させ、疾患の進行を修飾することを目的として設計されています。B細胞や制御性T細胞など、免疫恒常性維持に必要な細胞は温存されるよう設計されている点が特徴です。2025年11月15日時点のデータカットオフでは、21例が登録され安全性評価が可能でした。登録患者の95%(20例)がベースラインで好中球減少、57%(12例)が貧血を有していました。投与スケジュール(4週間毎投与)において、62%(13例)が12週間超の継続投与を完了しました。評価可能な患者のうち7例で、CD8+ CD57+ KLRG1+ T細胞の50%超の持続的な減少(2回以上連続来院時)が認められ、3例ではCD8+ CD57+ KLRG1+ T細胞およびその親集団であるCD8+ CD57+ T細胞の90%超の持続的減少が確認されました。

 

臨床的有効性の指標として、ベースラインで全例が好中球減少、9例が貧血を有していましたが、治療後7例で好中球反応(ANCがベースラインから50%以上増加し4週間以上持続、またはANCが1,000/μL以上で4週間以上持続)が認められました。貧血については2例で、輸血や成長因子に起因しないヘモグロビン値の1 g/dL以上の増加が4週間以上続く反応が得られました。安全性については、用量増加に伴っても全体的に良好な忍容性が示され、多くの治療関連有害事象は軽度〜中等度でした。重篤な治療関連有害事象としてはグレード3の点滴関連反応が1例報告されたのみでした。AbcuroのChief Medical OfficerであるH. Jeffrey Wilkins医師は、「今回のASHでのデータは、T-LGLLのような衰弱性疾患を駆動する高度分化T細胞を選択的に標的・枯渇させるulviprubartのポテンシャルをさらに裏付けるものです」と述べ、同剤がT-LGLL患者の新たな治療選択肢となり得る可能性に期待を示しています。

 

T-LGLLは、しばしばKLRG1陽性の免疫細胞が病的に増殖することで発症する血液がんで、好中球減少や貧血を引き起こします。好中球減少は頻回の感染症の原因となり、T-LGLL患者の早期死亡の主要因とされています。一方、貧血は約3分の1の患者で輸血依存をもたらします。今回の中間結果は、ulviprubartの安全性・薬力学的作用および血球数の改善効果について、さらなる検証に値する有望なシグナルが得られたことを示しています。

 

Abcuroについて
Abcuroは、重篤かつ進行性の希少自己免疫疾患や、特定の細胞傷害性T細胞が病因となるその他の疾患に対して、初の作用機序となる免疫療法を開発する臨床後期バイオテクノロジー企業です。同社の開発候補薬ulviprubart(旧称ABC008)は、KLRG1を高発現する病原性T細胞(KLRG1+ T細胞)を選択的に枯渇させるヒト化モノクローナル抗体であり、他の免疫細胞を温存することで安全性と忍容性の向上を目指しています。現在、封入体筋炎(IBM)患者を対象とした登録を目的とした第2/3相試験およびT-LGLL患者を対象とした第1/2相試験が進行中です。

 

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