Startup Portfolio
生成AIのAnthropic、Decart AIの約60億ドル買収を精査後に見送りへ
Anthropicが、イスラエルのAI企業Decart AIの買収を見送ったとBloombergが報じました。同社は交渉を進めてデューデリジェンスを完了したうえで撤退しており、関係者の1人は両社が別の形で協業する可能性は残っていると述べています。両社の広報担当はBloombergの取材に対しコメントを控えました。買収協議は8月に約60億ドル規模として最初に報じられ、その時点でも成立は確定しておらず破談の可能性があると付記されていました。
見誤られやすいのが買収の狙いです。Decartは世界モデルで知られていますが、Bloombergによれば今回の対象は演算効率の技術でした。同社の最適化スタックは学習と推論の双方でチップの性能を引き出す設計で、Anthropicは既存の計算資源でより多くの需要を吸収することを想定していたとされます。つまり新しい製品領域への進出ではなく、顧客への提供コストをめぐる案件だったことになります。
金額の大きさも論点でした。Anthropicは大型買収をほとんど行っておらず、これまで最も目立ったのは10人未満のチームに対する4億ドルの案件です。60億ドルはその一桁上にあたり、しかも上場準備と計算資源への大規模な支出が重なる時期でした。Decartは5月にRadical Venturesが主導するラウンドで3億ドルを調達し、Wall Street Journalによれば当時の評価額は40億ドル近くでした。60億ドルであれば4カ月で約5割の上乗せとなります。価格が理由だったのか、精査で判明した別の要因があったのかは報じられていません。今後の注目は、両社が検討しているとされる協業が、効率化技術の保有ではなく商用契約という形に落ち着くかどうかです。
Anthropicについて
Anthropicとは、2021年に設立されたアメリカの人工知能企業で、本社はカリフォルニア州サンフランシスコにあります。Dario AmodeiとDaniela Amodeiのほか、Ben Mannらが共同創業しました。主力製品は大規模言語モデル群Claudeと、開発者向けAPI、エージェント型のコーディング環境Claude Code、デスクトップ向けのCoworkです。モデルの研究開発と法人向け提供を軸に、解釈可能性研究や責任あるスケーリング方針など、安全性を重視した開発体制を特徴とします。AIを安全かつ有益な形で社会に実装することをミッションに掲げています。
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