遠隔対応フォークリフトPhantom Autoが、大手運送会社の働力不足を解消

トラック運送会社のArcBest Corp.と物流業者のNFI Industries Inc.は、新興企業のPhantom Auto Inc.の遠隔車両操作ソフトウェアを支援するために4200万ドルの投資を行い、今後数年間で数千台の遠隔対応フォークリフトを配備する計画だと発表しています。カリフォルニア州南サンフランシスコに拠点を置くPhantom Autoの技術により、遠隔地にいるドライバーはビデオやオーディオストリームを使って機器を操作できるようになり、他の地域の労働者に貨物運搬の仕事を開放することができるようになります。オペレーターは、需要に応じて異なる場所にあるフォークリフトを切り替えることができます。今回の資金調達は、企業がサプライチェーンの寸断を回避し、厳しい労働市場の中で旺盛な需要に対応できるよう、投資家が物流技術に数十億ドルを投じる中で行われたものです。

倉庫作業員はパンデミック以前から不足していた。旺盛な個人消費と強力なオンライン販売によって流通網が圧迫され、事業者が新たな生産能力を処理する能力が制限されたため、人材確保はより厳しくなっています。ニュージャージー州カムデンを拠点とするNFIは、6000万平方フィート以上の倉庫スペースを運営しており、今後3年から5年の間に米国とカナダで約1500台のリモート対応フォークリフトを配備することを目標としています。NFI社の最高経営責任者 Sid Brown氏は、その目的は労働者を置き換えることではなく、人々が遠隔で働くことによって能力を高めることであり、ビデオゲームが好きな人を含め、採用にも役立つだろうと述べました。「私たちは、何千人ものフォークリフトオペレーターを抱えています。もし、リモートフォークリフトを活用することで、倉庫の職能の30％から50％を解決することができれば、それは私たちにとって本当の勝利だと思うのです。また、アジアや南米、ヨーロッパなど、異なるタイムゾーンに人を配置することができれば、2交代制や3交代制のような、人員を確保するのが難しい仕事にも従事させることができます」

これとは別に、アーカンソー州フォートスミスを拠点とするArcBest社は、ABF Freight社の親会社で、数年前からPhantom社と協力し、同社のソフトウェアを、輸送会社が顧客のために開発した自律走行技術と統合してきました。両社は共同開発および商業取引を行い、今年中に他の顧客にも遠隔自律型フォークリフトを提供する予定です。ArcBest社の最高イノベーション責任者で、Phantom社の役員に就任するMichael Newcity氏は次のように述べました。「このパンデミックでは、遠隔操作が可能な労働者と、遠隔操作ができない労働者の2つの層が存在します。この技術は、労働力を民主化するものです。」

フランスの倉庫自動化の新興企業であるExotec SASは今週、Goldman Sachs Groupの資産管理部門の成長株ビジネスが主導するシリーズD資金調達ラウンドで3億3500万ドルを調達し、同社を20億ドルと評価したと発表しました。市場調査会社Interact Analysisのマネージングディレクター、 Ash Sharma氏は、この投資はモバイルロボットや倉庫ロボット企業にとってこれまでで最大であり、評価額もこの分野での記録を更新していると述べました。

2017年に設立されたPhantom Autoは、これまでに6600万ドルを調達し、約75人の従業員を雇用しています。直近の資金調達ラウンドでは、Bessemer Venture Partners、Maniv Mobility、Perot Jainからの支援もありました。Phantom Autoはこの資金を、配達ロボットやトラックなど他の物流用途を含め、従業員の増員や追加技術の開発に充てる予定です。