エンタープライズAIのための新製品「Agent Bricks」をDatabricksが発表

企業向けデータ管理・AIプラットフォームを提供するDatabricksは、エンタープライズ向けにAIエージェントの開発・展開を自動化する新製品「Agent Bricks」を発表しました。この新ツールは企業が独自のデータと業務ニーズに応じてカスタマイズされたAIエージェントを簡単に構築・導入できることを目指しています。

Agent Bricksはユーザーがタスクの概要を提示すると、それを企業内のデータと連携させ、自動的にAIエージェントを作成します。この際に必要な模擬データの生成や性能評価、さらにはAIエージェントの最適化までを一括して自動処理する仕組みです。この製品はDatabricksが買収したMosaic AIの研究成果を元に開発されており、現在ベータ版として提供されています。主に企業における知識支援、情報抽出、複数のAIエージェントの連携処理などに活用されることを想定しています。Databricksはセキュリティやガバナンスなどの管理機能を組み込むことで、複数のベンダーから異なるコンポーネントを集める必要なく、Agent Bricks単独で企業のニーズに応えられるようにしています。

Agent Bricksでは、模擬データ生成や性能評価を自動化することで、従来手作業や専門知識を必要としたAIモデルの品質評価やコスト管理の課題を解消する狙いがあります。企業は作成されたAIエージェントを評価し、品質とコストのバランスに合った最適なバージョンを簡単に選択できるようになります。産業別の具体的な活用例としては、情報抽出分野で電子メールやPDFなどの非構造化文書を構造化データに自動変換することが可能です。小売業界ではサプライヤー文書から商品情報を迅速に抽出できます。また製造業では技術者がマニュアルの中から即座に必要な情報を見つける支援ツール、金融業界では複数エージェントを活用しコンプライアンスチェックなど複雑なタスクを自動管理するシステムなどが挙げられます。マーケティング業界ではブランド基準に沿ったコンテンツ生成も行えます。

Databricksの共同創業者兼CEOであるAli Ghodsi氏は「Agent Bricksは、企業が自社データを使い、迅速かつ自信を持って実用レベルのAIを構築するまったく新しい手法です。手動での調整や推測作業なしに、品質とコストをコントロールしながらAIエージェントを展開できます」と述べています。Agent Bricksの早期導入企業からも高い評価が寄せられています。例えば製薬大手のAstraZenecaは、60分以内に40万件以上の臨床試験文書から構造化データを抽出するエージェントを作成しました。またFlo Healthは、このツールにより医療的精度を標準的な市販モデルの2倍に高め、コストを大幅に削減しました。さらにNorth Dakota University Systemでは、複雑な法律文書を解析するエージェントを迅速かつ低コストで構築し、作業時間を30日間節約しました。このAgent Bricksの発表に伴い、DatabricksはサーバレスGPUサポートも提供開始しています。これによりモデルの微調整や深層学習のワークロード実行時に、企業がハードウェアを管理する必要なくオンデマンドで計算リソースを活用可能になります。さらにDatabricksのオープンソースAI開発フレームワークであるMLflowの最新バージョン「MLflow 3.0」もリリースされ、AIエージェントのパフォーマンス監視や最適化が容易になりました。

Databricksについて
Databricksは企業向けデータ管理・AIプラットフォームを提供する企業です。大規模なデータ基盤を構築し、データサイエンティストやエンジニア、ビジネスユーザーがAIモデルを簡単かつ安全に活用できるよう支援しています。Databricksの技術は、フォーチュン500企業の多くで導入され、データ駆動型企業への変革を支えています。