AIを活用した出版プラットフォームSpinesが650万ドルを調達し、数百年続く出版業界に変革をもたらす

イスラエルのスタートアップ企業Spinesは、今日650万ドルのシード資金調達ラウンドを終え、数百年続く出版業界に変革をもたらそうとしています。この資金調達ラウンドはAlephがリードし、既存の投資家であるM-Fund、LionTree LLC、ベストセラー「Startup Nation」の共著者Dan Senorらも参加しました。正式にはBoox Publishing Technologies Inc.と呼ばれるSpinesは、著者向けのAIを活用した出版プラットフォームを開発し、出版から物理的な書籍の流通までをワンストップで自動化するサービスを提供しています。

同社によると、出版業界は数十年間停滞しており、既存のプロセスはほとんど手作業で行われています。その結果、平均的な出版社では書籍を流通・販売する準備に数か月を要しています。オンライン書籍やe-リーダーの普及にもかかわらず、著者が自費出版する選択肢はほとんどなく、自費出版に成功した著者でさえ、その努力から十分な収益を得ることができません。Spinesのプラットフォームを使えば、著者は自身の作品を2週間以内に自費出版できます。これにより、出版コストを最大30%削減できるとのことです。Spinesは、編集、校正、フォーマット、表紙デザインなどの重要なタスクをAIで自動化するさまざまなアルゴリズムを開発しています。ただし、著者が希望すれば人間の編集者に依頼することも可能です。いずれの場合も、各書籍には人間の製作マネージャーが割り当てられ、原稿のアップロードから実際の出版に至るまで、著者を全ステップに渡ってサポートします。SpinesのAI校正機能は、原稿の文法エラー、スペルミス、タイプミスをスキャンし、最終版にエラーがないことを保証します。また、プラットフォームは業界基準に沿って書籍をフォーマットし、世界中の幅広いチャネルで流通できる状態に仕上げます。

さらに、生成AIモデルが完成した書籍を「読み」、適切なフロントカバーとバックカバーのアートを70種類以上の例から設計します。加えて、Spinesは出版後、100以上のチャネルで各書籍を掲載し、流通を担当します。ユーザーは、より強力なAIマーケティングツールにもアクセスでき、書籍の売れ行きを最大化できます。プラットフォームには、著者が書籍の売上を追跡できるロイヤリティ管理ツールも含まれています。Spinesはサービス料として書籍の収益の30%を受け取り、残りの70%が著者の収入となります。さらに、著者はオンライン販売に限らず、実際の書店に配布する目的で書籍の印刷物を注文することもできます。現在Spinesは英語の書籍のみをサポートしていますが、複数の言語への専門的な人間翻訳の見積もりも提供できます。著者は追加料金を支払えば、自身の作品の音声版も制作できるとのことです。

同社は今回の資金調達に先立ち、数年間の活動実績があり、その間イスラエルで主要な出版社の一つに成長し、過去10年間でイスラエルで出版された書籍の15%を占めるまでになりました。昨年は500冊以上の新作を出版し、今年は米国への事業拡大により、年間出版冊数が3,000冊を超える見込みで、1日平均9冊のペースとなり、主要な伝統的出版社と同等の水準に達するとしています。

Alephのパートナー、Michael Eisenbergは、出版は古くからある業界でAIによる変革が求められていると述べています。「Spinesは、AIの進歩を活用して、古い業界をより効率的に、より多くの顧客に開かれたものに、そしてその仕事をより良くこなせるものに変革しています。著者として言えば、現在の出版プロセスは高価で、苦痛を伴い、長期間を要するものです」と語っています。

Spines創業者兼CEOのYehuda Nivは、今回の投資が同社にとって重要な節目であり、プラットフォームの市場展開を拡大し、高コストで非効率な現状に対する技術ベースの選択肢を提供できると述べています。

調達資金は、Spinesのブランド認知度を高め、AIを活用した出版プロセスをさらに合理化するために使われる予定です。Nivは「自費出版の分野で事業を拡大し、提供サービスを強化し、より多くの著者が最も愛する物語を語ることに専念できるよう支援するため、この一流の投資家と著者の皆さまと協力することを心待ちにしています」と付け加えています。