AI21がOpenAIに対抗する新しい高度なAI言語モデルを展開

イスラエルの自然言語処理（NLP）企業であるAI21 Labsは、特定のタスクにカスタマイズ可能な次世代言語モデルを発表しました。このモデルにより、開発者や企業は、多くの言語でテキストベースのアプリケーションを、より速く、より少ないコストで構築できるようになると述べています。人工知能を人間の思考パートナーにするというビジョンを掲げるAI21 Labsは、Jurassic-1バージョンと比較して、高度な命令追従機能と最大30%の応答時間短縮を特徴とする新しいJurassic-2ファミリー言語モデルを発表しました。また、Jurassic-2では、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、イタリア語、オランダ語など、より多くの言語で言語モデルを利用できるようになりました。NLPとは、コンピュータプログラムが音声やテキストによって人間の言語を理解する能力のことです。最近、OpenAIのChatGPTという、深層学習を使って人間のようなテキストを吐き出す、いわゆる大規模言語モデルが話題になっていますが、Mobileye（インテル社）の共同創業者でもあるAmnon Shashua教授が共同創業したAI21 Labsなど、他のスタートアップも競合するAIモデルをいち早く出してきています。

2021年に登場したJurassic-1と同様に、Jurassic-2言語モデルは、NLP開発者プラットフォームであるAI21 Studioを通じて、開発者がバーチャルアシスタント、チャットボット、テキストの簡略化、コンテンツモデレーション、クリエイティブライティングなどのテキストベースのアプリケーションを構築するために利用できるようになる予定です。このモデルは、質問への回答、エッセイの書き直し、テキストの要約、詩の作成などに使用できます。このスタートアップは、AI21 Studioプラットフォームに35,000人以上の開発者が登録されています。

AI21 Labsの共同CEO兼共同創業者のOri Goshenは、次のように述べています。「Jurassicでサポートされているアプリケーションは1000以上、商用契約は数百に及び、今後劇的に増加する見込みです。我々は今、OpenAIに代わるものを本当に導入しており、我々の独自性の要因は、我々が導入している2番目のもの、つまりタスクに特化した言語モデルに関連しています。」

Jurassic-2の発売とともに、このスタートアップは、文法の修正やテキストの要約、テキストの全段落までの言い換えやリライト、語彙の多様化によるコピー改善の推奨、長いテキストをトピックに基づいてセグメントに分割するなど、より特定のタスクを使用して独自のアプリケーションを構築するための5つの新しいツールを企業向けに発売しました。Goshenは、「私たちは、特定のタスクに最適化された高レベルの言語モデルを導入しています。「そして、多くのことができる汎用的な言語モデルではなく、特定のソリューションを探すようになるでしょう」と述べています。

Goshenによると、テストでは、タスクに特化した言語モデルは、ジェネリック、つまり汎用言語モデルよりも、結果の品質という点で良い結果を出しているそうです。ユーザーの例として、良質な商品説明文を生成する必要があるオンライン小売業者を挙げました。「非常にコストがかかるんです。毎年何百万もの新製品を発表している小売業者もあり、製品を発見できるような良いコンテンツを書く必要があります。今、彼らは、この種の言語モデルを使用して、ループ内の人間でコンテンツの開発を加速させることができる、この生成ツールを持っています。例えば、これらのモデルが登場する前は経済的に実現不可能だった、異なるオーディエンス向けに各製品をカスタマイズすることができます。」

2017年に設立されたAI21 Labsは、ジェネレーティブAIを取り巻く話題の高まりが資本調達につながりました。7月、このスタートアップはシリーズBの資金調達で6400万ドルを調達し、同社の価値を6億6400万ドルと評価しました。この資金調達ラウンドは、英国のAhren Innovation Capital Fundが主導し、Shashua、Pitango Ventures、テルアビブのTPY Capital、米国の億万長者でVeritas Technologies創業者のMark Leslieが参加しました。また、この資本により、同スタートアップは過去1年間で従業員数を190人に倍増させました。